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September 24, 2009 Vol. 361 No. 13

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パーキンソン病に対するラサギリンの二重盲検・遅延開始試験
A Double-Blind, Delayed-Start Trial of Rasagiline in Parkinson's Disease

C.W. Olanow and Others

背景

パーキンソン病の進行を抑制する治療法が強く求められているが,そのニーズは依然満たされていない.

方 法

今回の二重盲検試験では,パーキンソン病に対するラサギリン(rasagiline)の疾患修飾効果の可能性を検討した.未治療のパーキンソン病患者 1,176 例を,ラサギリン(1 mg/日または 2 mg/日)を 72 週間投与する群(早期開始群)と,プラセボを 36 週間投与した後ラサギリン(1 mg/日または 2 mg/日)を 36 週間投与する群(遅延開始群)に無作為に割り付けた.いずれの用量でも肯定的結果が得られるかどうかを判断するため,早期開始群では統合パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson's Disease Rating Scale:UPDRS,176 点満点で,スコアが高いほど重症度が高いことを示す)に基づいた主要解析で,以下に示す階層的な 3 つのエンドポイントすべてを満たすことを要件とした;12 週目~36 週目の UPDRS スコアの変化率でプラセボに対する優越性を示すこと,ベースライン~72 週目の UPDRS スコアの変化で遅延開始治療に対する優越性を示すこと,48 週目~72 週目の UPDRS スコアの変化率で遅延開始治療に対する非劣性を示すこと.

結 果

ラサギリン 1 mg/日早期開始群は,主要解析にて以下のとおりすべてのエンドポイントを満たした;12 週目~36 週目の UPDRS スコアの増加ポイント(悪化率)の平均(±SE)はプラセボ群より小さく(0.09±0.02 ポイント/週に対しプラセボ群 0.14±0.01 ポイント/週,P=0.01),ベースライン~72 週目の UPDRS スコア悪化も遅延開始群より小さく(2.82±0.53 ポイントに対し遅延開始群 4.50±0.56 ポイント,P=0.02),48 週目~72 週目の UPDRS スコアの変化率については両群間で非劣性が示された(0.085±0.02 ポイント/週に対し遅延開始群 0.085±0.02 ポイント/週,P<0.001).ラサギリン 2 mg/日投与では,ベースライン~72 週目の UPDRS スコアの変化に両群間で有意差はみられなかったことから(早期開始群 3.47±0.50 ポイント 対 遅延開始群 3.11±0.50 ポイント,P=0.60),3 つのエンドポイントは満たされなかった.

結 論

ラサギリン 1 mg/日の早期投与では,疾患修飾効果の可能性と一致する利益が得られたが,ラサギリン 2 mg/日の早期投与ではその利益は示されなかった.用量の違いにより異なる転帰が示されたため,この研究結果は慎重に解釈する必要がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00256204)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 1268 - 78. )