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October 8, 2009 Vol. 361 No. 15

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心筋梗塞後早期の除細動器の植込み
Defibrillator Implantation Early after Myocardial Infarction

G. Steinbeck and Others

背景

心筋梗塞後早期は,心臓突然死を含む死亡率がもっとも高い.しかし現行のガイドラインでは,心筋梗塞後 40 日以内に,心臓突然死の予防を目的として植込み型除細動器(ICD)を使用することは推奨していない.心筋梗塞を発症した高リスクの患者に早期に ICD 植込みを行った場合,至適薬物治療のみを行った場合よりも生存期間が延長するという仮説を検証した.

方 法

この無作為化前向き非盲検・研究者主導型多施設共同試験では,62,944 例の心筋梗塞患者を非選択的に登録した.このうち,以下の臨床的基準を満たす 898 例を発症から 5~31 日後に登録した:左室駆出率が低下(≦40%)し,最初に得られた心電図で心拍数≧90 回/分であること(基準 1:602 例),ホルター心電図で非持続性心室頻拍(≧150 回/分)が認められること(基準 2:208 例),または両基準を満たすこと(88 例).この 898 例のうち,445 例を ICD 植込み(ICD 群)に,453 例を薬物治療単独(対照群)に無作為に割り付けた.

結 果

平均 37 ヵ月の追跡期間中に,233 例(ICD 群 116 例,対照群 117 例)が死亡した.ICD 群の全死亡率に低下はみられなかった(ハザード比 1.04,95%信頼区間 [CI] 0.81~1.35,P=0.78).心臓突然死は ICD 群のほうが対照群より少なかったが(27 対 60,ハザード比 0.55,95% CI 0.31~1.00,P=0.049),突然死以外の心臓死は ICD 群のほうが多かった(68 対 39,ハザード比 1.92,95% CI 1.29~2.84,P=0.001).ハザード比は,登録基準で分類した 3 群(基準 1,基準 2,両基準)で同等であった.

結 論

急性心筋梗塞を発症し,リスク増加につながる臨床像を呈する患者に ICD 植込みを予防的に行っても,全死亡率は低下しなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00157768)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 1427 - 36. )