October 8, 2009 Vol. 361 No. 15
医師が報告する利益相反の開示の正確性
Accuracy of Conflict-of-Interest Disclosures Reported by Physicians
K. Okike and Others
最近,整形外科器具の製造業者が医師に支払った報酬を公表したことで,医師の自己報告による利益相反の開示の正確性を評価する機会が得られた.
人工股関節・人工膝関節の製造業者 5 社が,2007 年に医師に支払った報酬に関する報告を分析した.米国整形外科学会(American Academy of Orthopaedic Surgeons)の 2008 年年次総会の発表者,または委員会・役員会のメンバーで支払いを受けた各個人について,報酬の開示に関する記載を調査し,報酬が開示されているかどうかを判定した.非開示の理由を確認するため,開示されていない報酬を受け取っていた医師を対象に調査を行った.
全体の開示率は 71.2%(報酬 344 件中 245 件)であった.学会での発表テーマに直接的に関連する報酬の開示率は 79.3%(208 件中 165 件),間接的に関連する報酬の開示率は 50.0%(32 件中 16 件),無関係の報酬の開示率は 49.2%(59 件中 29 件)であった(P=0.008).多変量解析では,開示されている割合が高かったのは,報酬額が 10,000 ドル(P<0.001)を超えていた場合,会社や組織ではなく医師個人に支払われた場合(P=0.04),現物支給(金銭以外)の場合(P=0.002)であった.非開示の理由に関する調査に回答した医師 36 人(回答率 39.6%)において,非開示の理由として多くあげられたのは,報酬が年次総会の発表テーマに無関係であったこと(回答者の 38.9%),医師が開示要件を理解していなかったこと(13.9%)であった.また,回答者の 11.1%は,報酬を開示していたが手違いでプログラムに記載されなかったと報告した.
大規模な年次総会に参加した医師の自己報告による利益相反の開示に関するこの調査では,発表に直接的に関連する報酬の開示率は 79.3%,間接的に関連する報酬の開示率は 50.0%であった.