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October 22, 2009 Vol. 361 No. 17

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パーキンソン病におけるグルコセレブロシダーゼの変異に関する多施設共同分析
Multicenter Analysis of Glucocerebrosidase Mutations in Parkinson's Disease

E. Sidransky and Others

背景

グルコセレブロシダーゼをコードする遺伝子(GBA)の欠損はゴーシェ病を引き起こすが,最近の研究では,パーキンソン病患者に GBA の変異が認められる頻度が高いことが示されている.この研究の目的は,民族的に多様なパーキンソン病患者集団における GBA 変異の頻度を明らかにすることである.

方 法

南米・北米 5 施設,欧州 6 施設,イスラエル 2 施設,アジア 3 施設の計 16 施設がこの多国共同研究に参加した.各施設で標準 DNA パネルの遺伝子型決定を行い,施設間で結果を比較できるようにした.パーキンソン病患者 5,691 例(アシュケナージ系ユダヤ人 780 例)と対照 4,898 例(アシュケナージ系ユダヤ人 387 例)の遺伝子型と表現型のデータを解析し,多変量ロジスティック回帰モデルと Mantel-Haenszel 法を用いて施設間のオッズ比を算出した.

結 果

16 施設すべてで,L444P と N370S の 2 つの GBA 変異が検出された.いずれかの変異が認められた割合は,アシュケナージ系ユダヤ人では患者群 15%,対照群 3%であり,アシュケナージ系ユダヤ人以外では患者群 3%,対照群 1%未満であった.アシュケナージ系ユダヤ人以外の 1,883 例で GBA の全配列を決定した結果 7%で変異が認められ,限定的な変異のスクリーニングでは変異対立遺伝子の半数が見落とされる可能性があることが示された.対照との比較で,患者がなんらかの GBA 変異を有するオッズ比は全施設で 5.43 であった.GBA 変異を有しない患者と比較して,GBA 変異を有する患者ではパーキンソン病の発症年齢が低く,パーキンソン病の親族を有する傾向が強く,非定型的な臨床徴候が認められる傾向が強かった.

結 論

16 施設のデータから,GBA 変異とパーキンソン病には強い関連があることが示された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 1651 - 61. )