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October 29, 2009 Vol. 361 No. 18

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真菌感染症に対する易罹患性を有する 1 家族で同定されたホモ接合型 CARD9 変異
A Homozygous CARD9 Mutation in a Family with Susceptibility to Fungal Infections

E.-O. Glocker and Others

背景

慢性皮膚粘膜カンジダ症はカンジダ種による粘膜や皮膚の持続性・反復性の感染を特徴とする,原発性免疫不全症の一つである.ほとんどの場合が散発性であるが,常染色体優性遺伝や常染色体劣性遺伝の例も報告されている.

方 法

大きな 1 血縁家族の 5 世代 36 人を遺伝学的に検討した.この家族では 4 例が真菌感染を繰り返しており,そのほか 3 例が青年期に死亡しているが,そのうち 2 例はカンジダ種が脳に感染して死亡した.家族 36 人をすべて研究に組み入れ,22 人から DNA 解析のための血液検体を得た.ホモ接合型マッピングを用いて変異遺伝子の位置を決定した.カンジダ症に罹患した 4 例(患者)と罹患していない 18 例において,カスパーゼ動員ドメイン含有蛋白 9 をコードする遺伝子 CARD9 の塩基配列決定と T 細胞表現型解析を行った.また,患者または遺伝子欠損を再構成したモデルマウスの白血球を用いて機能性試験を行った.

結 果

染色体 9q 上のゲノム間に連鎖が認められ(ロッドスコア 3.6),CARD9 が同定された.患者 4 例全例が CARD9 にホモ接合型の点変異を有しており,その結果中途終止コドン(Q295X)が生じていた.健常な家族は野生型 CARD9 蛋白を発現していた.患者 4 例には野生型蛋白の発現がみられず,それに伴う Th17 細胞(インターロイキン-17 を産生するヘルパー T 細胞)数の低下がみられた.Card9-/-マウス由来骨髄系細胞の遺伝子再構成に基づく機能性試験では,Q295X 変異により,先天的に備わっている抗真菌パターン認識受容体デクチン-1 からのシグナル伝達に障害が生じることが示された.

結 論

常染色体劣性遺伝の慢性皮膚粘膜カンジダ症に対する易罹患性は,CARD9 のホモ接合型変異と関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 1727 - 35. )