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December 10, 2009 Vol. 361 No. 24

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経皮的冠動脈インターベンション施行時のカングレロール静脈内投与による血小板阻害
Intravenous Platelet Blockade with Cangrelor during PCI

D.L. Bhatt and Others

背景

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行時の虚血性イベントは,速効型可逆的アデノシン二リン酸(ADP)受容体阻害薬であるカングレロール(cangrelor)の静脈内投与により減少すると考えられる.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験において,クロピドグレルによる治療歴のない患者 5,362 例を,PCI 施行時にカングレロールを投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付け,施行後にクロピドグレル 600 mg を投与した.主要エンドポイントは,48 時間の時点における死亡・心筋梗塞・虚血を原因とする血行再建の複合とした.中間解析で主要エンドポイントに関して優越性が示される可能性はないと結論付けられた時点で,登録を中止した.

結 果

主要エンドポイントは,カングレロール群 2,654 例中 185 例(7.0%),プラセボ群 2,641 例中 210 例(8.0%)で発生した(カングレロールのオッズ比 0.87,95%信頼区間 [CI] 0.71~1.07,P=0.17)(欠損データ補正後の修正 intention-to-treat 集団).カングレロール群では,プラセボ群と比べて,事前に規定した 2 つの副次的エンドポイントの発生率が 48 時間の時点で有意に低下した;ステント血栓症の発生率は 0.6%から 0.2%へ(オッズ比 0.31,95% CI 0.11~0.85,P=0.02),あらゆる原因による死亡率は 0.7%から 0.2%へ低下(オッズ比 0.33,95% CI 0.13~0.83,P=0.02).輸血率に両群間で有意差はなかったが(カングレロール群 1.0%,プラセボ群 0.6%,P=0.13),カングレロール群では鼠径部血腫の増加により,ACUITY 基準では重大な出血の発生率が 3.5%から 5.5%に上昇した(P<0.001).

結 論

PCI 施行時のカングレロールの使用には,主要エンドポイントの減少に関してプラセボに対する優越性は認められなかった.事前に規定した副次的エンドポイントであるステント血栓症と死亡の発生率はカングレロール群のほうが低く,輸血率に有意な上昇はみられなかった.カングレロール静脈内投与による ADP 阻害には,さらなる研究が必要であると考えられる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00385138)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 2330 - 41. )