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July 16, 2009 Vol. 361 No. 3

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冠動脈バイパス術における静脈グラフトの内視鏡的採取と切開採取の比較
Endoscopic versus Open Vein-Graft Harvesting in Coronary-Artery Bypass Surgery

R.D. Lopes and Others

背景

冠動脈バイパス術(CABG)において,術後創合併症を減らす目的で内視鏡を用いた静脈グラフト採取(内視鏡的採取)が広く行われているが,静脈グラフト機能不全発生率や臨床転帰に対する長期的な影響は明らかにされていない.

方 法

CABG を施行した 3,000 例の臨床試験の二次解析において,静脈グラフトを内視鏡下で採取した患者(1,753 例)の転帰を,直視下で採取(切開採取)した患者(1,247 例)の転帰と比較した.採取法は各患者の執刀医が決定した.静脈グラフト機能不全の定義は,術後 12~18 ヵ月に行う血管造影でグラフト径の 75%以上の狭窄が認められることとした(血管造影施行サブグループ 1,817 例のグラフト 4,290 個のデータが得られた).臨床転帰は,死亡,心筋梗塞,血行再建術再施行とした.静脈グラフト機能不全に関連するベースラインの共変量で補正し,一般化推定方程式を用いて同一患者のグラフト間で生じうる相関を検討した.Cox 比例ハザードモデルを用いて長期臨床転帰を評価した.

結 果

ベースライン特性は,内視鏡的採取群と切開採取群で同等であった.術後 12~18 ヵ月の静脈グラフト機能不全発生率は,内視鏡的採取群のほうが切開採取群よりも高かった(46.7% 対 38.0%,P<0.001).3 年後の評価では,内視鏡的採取は,死亡・心筋梗塞・血行再建術再施行の発生率が高いこと(20.2% 対 17.4%,補正ハザード比 1.22,95%信頼区間 [CI] 1.01~1.47,P=0.04),死亡・心筋梗塞の発生率が高いこと(9.3% 対 7.6%,補正ハザード比 1.38,95% CI 1.07~1.77,P=0.01),死亡の発生率が高いこと(7.4% 対 5.8%,補正ハザード比 1.52,95% CI 1.13~2.04,P=0.005)と関連していた.

結 論

内視鏡的静脈グラフト採取は,静脈グラフト機能不全と有害な臨床転帰に,独立して関連している.この採取法の安全性と有効性をさらに評価するには,無作為化臨床試験を行う必要がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 235 - 44. )