December 17, 2009 Vol. 361 No. 25
MF59 アジュバント添加 2009 インフルエンザ A(H1N1)一価ワクチンの臨床試験
Trial of 2009 Influenza A(H1N1)Monovalent MF59-Adjuvanted Vaccine
T.W. Clark and Others
2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)ウイルスは 21 世紀で最初のパンデミックを引き起こした.有効なワクチンの開発が公衆衛生上の優先事項である.
単一施設において,18~50 歳の成人 176 例を対象に,A/カリフォルニア/2009(H1N1)インフルエンザ表面抗原一価ワクチンの,MF59 アジュバント添加型とアジュバント非添加型の臨床試験を行った.被験者を,赤血球凝集素 7.5 μg の MF59 アジュバント添加ワクチンを 0 日目に両腕に 1 回ずつ接種する群,0 日目に 1 回接種し 7 日目または 14 日目に 2 回目を接種する群(計 3 群);7.5 μg または 3.75 μg の MF59 アジュバント添加ワクチンを 21 日間隔で 2 回接種する群,7.5 μg または 15 μg のアジュバント非添加ワクチンを 21 日間隔で 2 回接種する群(計 4 群)に無作為に割り付けた.抗体反応は,赤血球凝集抑制試験とマイクロ中和試験を用いて 1 回目の接種後 0 日目,14 日目,21 日目,42 日目に測定した.
局所反応は注射部位の疼痛,全身反応は筋肉痛がもっとも多く,それぞれ被験者の 70%,42%に認められ,発現数は MF59 アジュバント添加群のほうが非添加群より多かった.3 例がいずれかの回の接種後に 38℃以上の発熱を報告した.幾何平均で表した抗体価は,21 日目の時点で,MF59 アジュバント添加ワクチンを 1 回接種した被験者のほうがアジュバント非添加ワクチンを 1 回接種した被験者より高かった(マイクロ中和試験による P<0.001).21 日目の時点で,赤血球凝集抑制抗体価が 1:40 以上となった被験者の割合はアジュバント添加群 77~96%,非添加群 63~72%であり,中和抗体価が 1:40 以上となった被験者の割合はアジュバント添加群 92~100%,非添加群 67~76%であった.42 日目の時点で,2 回の接種により赤血球凝集抑制抗体価が 1:40 以上となった被験者の割合はアジュバント添加群 92~100%,非添加群 74~79%であり,中和抗体価が 1:40 以上となった被験者の割合はアジュバント添加群 100%,非添加群 78~83%であった.
MF59 アジュバント添加 2009 インフルエンザ A(H1N1)一価ワクチンは,1 回の接種で防御能を付与する可能性のある抗体反応を引き起こす.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00943358)