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July 30, 2009 Vol. 361 No. 5

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肥満手術の長期的評価における周術期の安全性
Perioperative Safety in the Longitudinal Assessment of Bariatric Surgery

The Longitudinal Assessment of Bariatric Surgery (LABS) Consortium

背景

極度の肥満に対する治療法を選択する際により適切な意思決定がなされるよう,肥満手術の手技に伴うリスクをさらに明らかにさせる必要がある.

方 法

2005~07 年に米国内の 10 施設において肥満手術を受けた一連の患者を対象に,術後 30 日間の転帰について,多施設共同前向き観察研究を行った.初回肥満手術を受けた患者を対象に,術後 30 日間の主要有害転帰から成る複合エンドポイント(死亡,静脈血栓塞栓症,経皮的・内視鏡的・外科的再介入,退院できなかったこと)について検討した.

結 果

4,776 例が初回肥満手術を受けた(平均年齢 44.5 歳,男性 21.1%,非白人 10.9%,体格指数 [BMI,体重<kg>/身長<m>2] の中央値 46.5).半数以上の患者が 2 つ以上の併存疾患を有していた.3,412 例にはルーワイ胃バイパス術(87.2%は腹腔鏡下で施行),1,198 例には腹腔鏡下調節性胃バンディング術が行われた.166 例にはほかの手技が用いられたため,解析から除外された.ルーワイ胃バイパス術または腹腔鏡下調節性胃バンディング術を受けた患者の術後 30 日以内の死亡率は 0.3%であった.4.3%で主要有害転帰が 1 つ以上発生した.深部静脈血栓症または肺塞栓症の既往,閉塞性睡眠時無呼吸の診断歴,身体機能の低下は,複合エンドポイントの発生リスク上昇とそれぞれ独立して関連していた.BMI が極度に高いことは複合エンドポイントの発生リスク上昇と有意に関連していたが,年齢,性別,人種,民族,その他の併存疾患については関連が認められなかった.

結 論

肥満手術後の死亡およびその他の有害転帰の全体的リスクは低く,患者特性によって大きく異なった.患者が適切な治療法を選択できるようにするためには,肥満手術による長期的な効果と極度の肥満に伴うリスクとともに,短期的な安全性についても検討すべきである.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00433810)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 445 - 54. )