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July 2, 2009 Vol. 361 No. 1

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メディケア・パート D が薬剤費と医療費に及ぼす影響
The Effect of Medicare Part D on Drug and Medical Spending

Y. Zhang and Others

背景

メディケア・パート D 加入者で処方薬の使用が増えることが,その他の医療費にどのように影響しているかは明らかにされていない.

方 法

2006 年 1 月のパート D 導入前後各 2 年間の処方薬費用とその他の医療費を,以下の高齢受給者 4 群で比較した;薬剤費に対して,調査期間を通じ一貫して企業保険が上限なく適用されたメディケア・アドバンテージ加入者群(上限なし群),それまで保険が適用されなかった群,四半期の上限が 150 ドルであった群,同 350 ドルであった群.

結 果

導入後の 2005 年 12 月~2007 年 12 月における 1 ヵ月あたりの平均薬剤費は,上限なし群に比べて,それまで保険が適用されなかった群では 41 ドル(74%)増加し(95%信頼区間 [CI] 33~50 ドル),上限が 150 ドルであった群では 27 ドル(27%)増加し(95% CI 20~34 ドル),上限が 350 ドルであった群では 13 ドル(11%)増加した(95% CI 8~18 ドル).高脂血症治療薬と糖尿病治療薬の使用は,それまで薬剤費に保険が適用されなかった群と最低限の 150 ドルであった群で増加した.1 ヵ月あたりの医療費(薬剤費を除く)は,上限なし群に比べて,それまで保険が適用されなかった群では 33 ドル減少し(95% CI 29~37 ドル),上限が 150 ドルであった群では 46 ドル減少したが(95% CI 29~63 ドル),上限が 350 ドルであった群では 30 ドル増加した(95% CI 25~36 ドル).

結 論

メディケア・パート D への加入は,処方薬費用の増加と関連していた.パート D 導入前には薬剤費に保険が適用されなかった群と最低限の 150 ドルであった群では,薬剤費の増加とほぼ同程度にその他の医療費が減少したが,それまでの保険適用上限がより高額の 350 ドルであった群では,医療費は増加した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 52 - 61. )