August 27, 2009 Vol. 361 No. 9
医用画像検査による低線量電離放射線被曝
Exposure to Low-Dose Ionizing Radiation from Medical Imaging Procedures
R. Fazel and Others
米国では医用画像検査の実施が増加していることから,一般集団における低線量電離放射線被曝が懸念されている.
保険請求データをもとに,米国の 5 つの対象地域において,2005 年 1 月 1 日~2007 年 12 月 31 日に保険に加入していた 952,420 人の非高齢成人(18~64 歳)を同定した.利用状況データから画像検査による累積実効線量を推定し,集団ベースの被曝線量を算出した.年間実効線量は,低線量(≦3 mSv),中線量(>3 mSv かつ≦20 mSv),高線量(>20 mSv かつ≦50 mSv),超高線量(>50 mSv)とした.
調査期間中に,655,613 人(68.8%)が被曝を伴う画像検査を 1 回以上受けた.画像検査による累積実効線量の平均値(±標準偏差)は,1 人年あたり 2.4±6.0 mSv であったが,値の分布は広く,その中央値は 1 人年あたり 0.1 mSv(四分位範囲 0.0~1.7)であった.全体で,中線量被曝の発生率は 1,000 人年あたり 193.8 人であったのに対し,高線量被曝は 18.6 人,超高線量被曝は 1.9 人であった.概して,画像検査による被曝の累積実効線量は年齢とともに増加し,女性のほうが男性よりも実効線量は高かった.累積実効線量全体の 75.4%を CT と核医学イメージングが占めており,81.8%が外来で受けたものであった.
米国では,画像検査が電離放射線被曝の重大な原因であり,その結果,累積実効線量が高まる可能性がある.