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August 27, 2009 Vol. 361 No. 9

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高感度心筋トロポニンアッセイによる心筋梗塞の早期診断
Early Diagnosis of Myocardial Infarction with Sensitive Cardiac Troponin Assays

T. Reichlin and Others

背景

急性心筋梗塞では,迅速かつ信頼性の高い診断が求められているが,この臨床的に重要なニーズは依然満たされていない.

方 法

多施設共同研究において,急性心筋梗塞が疑われる症状で救急部を受診した,連続する 718 例の患者の血液検体を用いて,心筋トロポニンの新しい高感度アッセイの診断精度について検討した.心筋トロポニン濃度は,4 種類の高感度アッセイ(Abbott 社の Architect Troponin I,Roche 社の High-Sensitive Troponin T,Roche 社の Troponin I,Siemens 社の Troponin I Ultra)と,標準的アッセイ(Roche 社の Troponin T)を用いて盲検下で測定した.最終診断は,2 名の独立した循環器専門医が下した.

結 果

急性心筋梗塞の最終診断は 123 例(17%)に下された.受診時の測定における診断精度は,受信者動作特性(ROC)曲線の曲面下面積(AUC)の定量に基づくと,4 種類の高感度心筋トロポニンアッセイのほうが標準的アッセイよりも有意に高かった(AUC について,Abbott 社の Architect Troponin I 0.96,95%信頼区間 [CI] 0.94~0.98;Roche 社の High-Sensitive Troponin T 0.96,95% CI 0.94~0.98;Roche 社の Troponin I 0.95,95% CI 0.92~0.97;Siemens 社の Troponin I Ultra 0.96,95% CI 0.94~0.98;これらに対し,標準的アッセイ 0.90,95% CI 0.86~0.94).胸痛発現後 3 時間以内に受診した患者については,高感度アッセイの AUC はそれぞれ 0.93(95% CI 0.88~0.99),0.92(95% CI 0.87~0.97),0.92(95% CI 0.86~0.99),0.94(95% CI 0.90~0.98)であり,標準的アッセイの AUC は 0.76(95% CI 0.64~0.88)であった.高感度トロポニンアッセイが臨床管理に及ぼす影響については,評価を行わなかった.

結 論

高感度心筋トロポニンアッセイの診断能は優れており,とくに胸痛発現後まもない患者では,このアッセイによって急性心筋梗塞の早期診断が大幅に改善される可能性がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00470587)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 858 - 67. )