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April 8, 2010 Vol. 362 No. 14

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胆道癌治療のためのシスプラチン+ゲムシタビン併用療法とゲムシタビン単独療法の比較
Cisplatin plus Gemcitabine versus Gemcitabine for Biliary Tract Cancer

J. Valle and Others

背景

局所進行胆道癌,転移性胆道癌の患者に対する標準的な化学療法は確立されていない.われわれは当初,患者 86 例を対象とした無作為化第 2 相試験にてシスプラチン+ゲムシタビンの併用療法とゲムシタビン単独療法を比較した.無増悪生存期間の改善を認めたため試験を延長し,今回報告する第 3 相試験を実施した.

方 法

局所進行性または転移性の胆管癌,胆嚢癌,乳頭部癌の患者 410 例を,シスプラチン(25 mg/m2 体表面積)投与後にゲムシタビン(3 週間を 1 サイクルとして,1,000 mg/m2 を 1 日目と 8 日目に投与:計 8 サイクル)を投与する群と,ゲムシタビンを単独で投与する群(4 週間を 1 サイクルとして,1,000 mg/m2 を 1 日目,8 日目,15 日目に投与:計 6 サイクル)のいずれかに無作為に割り付け,最長 24 週間投与した.主要エンドポイントは全生存期間とした.

結 果

追跡期間中央値 8.2 ヵ月で 327 例が死亡し,全生存期間中央値は,シスプラチン+ゲムシタビン併用群 204 例で 11.7 ヵ月,ゲムシタビン単独群 206 例で 8.1 ヵ月であった(ハザード比 0.64,95%信頼区間 0.52~0.80,P<0.001).無増悪生存期間中央値は,シスプラチン+ゲムシタビン併用群で 8.0 ヵ月,ゲムシタビン単独群で 5.0 ヵ月であった(P<0.001).さらに,腫瘍制御率は,シスプラチン+ゲムシタビン併用群で有意に上昇した(81.4% 対 71.8%,P=0.049).有害事象発生率は両群で同程度であったが,好中球減少のみシスプラチン+ゲムシタビン併用群でより多く認められた.好中球減少に関連した感染症発生数は両群で同程度であった.

結 論

ゲムシタビン単独投与と比べて,シスプラチン+ゲムシタビン併用投与には,毒性が大きく増加することなく生存における有意な優位性が認められた.シスプラチン+ゲムシタビンの併用は,進行胆道癌患者の適当な治療選択肢であると考えられる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00262769)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 1273 - 81. )