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April 8, 2010 Vol. 362 No. 14

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妊娠高血圧の合併症予防を目的としたビタミン C とビタミン E の補給
Vitamins C and E to Prevent Complications of Pregnancy-Associated Hypertension

J.M. Roberts and Others

背景

酸化ストレスは,妊娠高血圧腎症に特徴的な胎盤灌流不全とこの疾患の臨床症状を結び付ける機序の一つとして提唱されている.われわれは,ビタミン C とビタミン E による抗酸化剤の補給を妊娠初期に開始した場合に,妊娠高血圧に関連する母体・胎児・新生児の重篤な有害転帰リスクにどのような効果があるかを検討した.

方 法

妊娠高血圧腎症のリスクが低い未経産婦を対象に,多施設共同無作為化二重盲検試験を実施した.未経産婦を,妊娠 9~16 週目にビタミン C 1,000 mg とビタミン E 400 IU の補給を開始する群と,プラセボを投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.主要転帰は重度の妊娠高血圧単独,または肝酵素値上昇・血小板減少・血清クレアチニン値上昇・子,発作・医学的に適応とされた早産・胎児発育遅延・周産期死亡のいずれかを伴う重度または軽度の高血圧とした.

結 果

未経産婦計 10,154 例を無作為化した.両群のベースライン特性と試験薬の服薬遵守は同程度であった.転帰データは 9,969 例で得られた.ビタミン群とプラセボ群のあいだで,主要転帰の発生率(それぞれ 6.1%と 5.7%,ビタミン群の相対リスク 1.07,95%信頼区間 [CI] 0.91~1.25),妊娠高血圧腎症の発生率(それぞれ 7.2%と 6.7%,相対リスク 1.07,95% CI 0.93~1.24)に有意差は認められなかった.周産期の有害転帰の発生率にも有意な群間差は認められなかった.

結 論

低リスクの未経産婦の非選択的コホート集団では,妊娠 9~16 週目にビタミン Cとビタミン E の補給を開始しても,妊娠高血圧に関連する母体・胎児・新生児の有害転帰の発生率に低下はみられなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00135707)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 1282 - 91. )