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April 15, 2010 Vol. 362 No. 15

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薬剤溶出ステント留置後の抗血小板薬 2 剤併用療法の治療期間
Duration of Dual Antiplatelet Therapy after Implantation of Drug-Eluting Stents

S.-J. Park and Others

背景

薬剤溶出ステントを留置した患者に対して,抗血小板薬 2 剤併用療法を 12 ヵ月を超えて行った場合の潜在的な利益とリスクは明らかにされていない.

方 法

2 つの臨床試験において,薬剤溶出ステント留置術を受けた後,12 ヵ月以上主要な心臓・脳血管有害事象や重大な出血がみられなかった患者計 2,701 例を,クロピドグレルとアスピリンを併用投与する群とアスピリンを単独投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,心筋梗塞または心臓が原因の死亡の複合とした.2 つの試験のデータを合わせて解析を行った.

結 果

追跡期間の中央値は 19.2 ヵ月であった.2 年後の主要転帰の累積リスクは,2 剤併用群で 1.8%,アスピリン単独群で 1.2%であった(ハザード比 1.65,95%信頼区間 [CI] 0.80~3.36,P=0.17).心筋梗塞,脳卒中,ステント血栓症,血行再建術再施行の必要性,重大な出血,全死因死亡の各リスクには両群間で有意差は認められなかった.しかし 2 剤併用群では,アスピリン単独群と比べ,心筋梗塞・脳卒中・全死因死亡の複合リスク(ハザード比 1.73,95% CI 0.99~3.00,P=0.051),心筋梗塞・脳卒中・心臓が原因の死亡の複合リスク(ハザード比 1.84,95% CI 0.99~3.45,P=0.06)に,有意ではないものの上昇がみられた.

結 論

薬剤溶出ステントを留置した患者に抗血小板薬 2 剤併用療法を 12 ヵ月を超えて行っても,アスピリン単独療法を行った場合と比べて,心筋梗塞・心臓が原因の死亡の発生率の低下に有意な有効性は認められなかった.これらの結果については,より長期の追跡を行う,さらに大規模な無作為化試験で確認あるいは反証する必要がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00484926,NCT00590174)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 1374 - 82. )