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June 10, 2010 Vol. 362 No. 23

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2009 パンデミックインフルエンザ A と季節性インフルエンザ A の家庭内における疫学的比較
Comparative Epidemiology of Pandemic and Seasonal Influenza A in Households

B.J. Cowling and Others

背景

地域社会における 2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)ウイルスと同時期に流行した季節性インフルエンザ A ウイルスについて,疫学的・ウイルス学的に比較したデータはほとんどない.

方 法

2009 年 7 月と 8 月に香港の外来クリニック 14 施設から急性呼吸器疾患の発端患者を募集し,348 例に適格性評価を行った.その後,インフルエンザ A ウイルスの迅速診断検査結果が陽性であった患者 99 例の家族を,前向きに追跡した.登録後 7 日以内に自宅を 3 回訪問した際に,家族全員から鼻咽頭検体を採取し,定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査とウイルス培養検査を行った.ベースラインと回復期に血液検体を採取したサブグループにおいて,赤血球凝集抑制試験とウイルス中和試験を用いて,パンデミックインフルエンザ A ウイルスと季節性インフルエンザ A ウイルスに対する抗体反応を検査した.

結 果

発端患者の家庭内接触者における二次感染率(RT-PCR により確認)は,パンデミックインフルエンザウイルス(8%,95%信頼区間 [CI] 3~14)と季節性インフルエンザウイルス(9%,95% CI 5~15)で同程度であった.発端患者におけるウイルス排出と病態経過のパターンも,パンデミックインフルエンザウイルスと季節性インフルエンザウイルスで同様であった.ベースラインと回復期に血清検体が得られたサブグループ解析において,パンデミックインフルエンザウイルス感染の血清学的所見が認められた家庭内接触者の 36%では,ウイルス排出は検出されず,発症も報告されなかった.

結 論

2009 パンデミック H1N1 ウイルスには,ウイルス排出,臨床症状,家庭内伝播に関して,季節性インフルエンザ A ウイルスと類似した特性がみられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 2175 - 84. )