The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 18, 2010 Vol. 362 No. 11

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

乳癌リスクモデルに用いる頻度の高い遺伝子変異
Performance of Common Genetic Variants in Breast-Cancer Risk Models

S. Wacholder and Others

背景

ゲノムワイド関連解析によって,乳癌との関連が示されている遺伝子変異が複数同定されている.これらの変異が既存のリスク評価モデルにどの程度寄与するかは明らかにされていない.

方 法

米国のコホート研究 4 件とポーランドの症例対照研究 1 件の乳癌症例 5,590 例と対照 5,998 例(50~79 歳)において,従来の危険因子と,乳癌との関連が示されている頻度の高い遺伝子変異 10 個に関する情報を用いて,乳癌の絶対リスクモデルを当てはめた.ROC 曲線分析を行い,判別指標として曲線下面積(AUC)を算出した.定義としては,症例と対照がランダムに分類されると AUC は 50%になり,完全に分類されると 100%になる.従来のリスクモデルに遺伝子変異を加えたのち,絶対リスク予測値を五分位に分け,各群で症例の割合を算出した.

結 果

年齢,研究した年と登録した年,4 種類の従来の危険因子を用いたリスクモデルの AUC は 58.0%であり,遺伝子変異 10 個を加えた場合の AUC は 61.8%であった.症例の約半数(47.2%)は,遺伝子変異を加えないモデルと同じリスク分位にあり,32.5%はより上位の分位,20.4%はより下位の分位にあった.

結 論

乳癌リスクモデルに新たに発見された遺伝的因子を加えることによる精度の向上はわずかであった.現在利用可能な遺伝的情報を加えても,大半の女性で乳癌リスクの予測値にほとんど変化はみられなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 986 - 93. )