September 9, 2010 Vol. 363 No. 11
寛解期の del(5q) 骨髄異形成症候群において持続する悪性幹細胞
Persistent Malignant Stem Cells in del(5q) Myelodysplasia in Remission
R. Tehranchi and Others
in vivo における悪性幹細胞の臨床的意義は明らかにされていない.
5q 欠失(del[5q])骨髄異形成症候群(5 番染色体長腕を含む中間部欠失)を有する患者は,レナリドミド(lenalidomide)による治療が奏効して臨床的・細胞遺伝学的完全寛解が得られるが,再発することが多い.まれではあるが特徴的な悪性幹細胞の持続が再発の原因であるかどうかを検討するため,del(5q) 骨髄異形成症候群患者で,レナリドミド治療中に輸血非依存性となり,細胞遺伝学的寛解が得られた 7 例から,骨髄検体を採取し調査した.
治療前に,CD34+, CD38+前駆細胞と,CD34+, CD90+で CD38 は検出不能であるか発現レベルの低い(CD38-/low)幹細胞のほぼすべてで 5q 欠失が認められた.完全寛解例において,レナリドミドにより CD34+, CD38+前駆細胞は効率的に減少したが,数が少なく静止状態の CD34+, CD38-/low, CD90+ del(5q) 幹細胞と,機能的な定義による del(5q) 幹細胞の大部分は,レナリドミドに明らかな耐性を示した.部分寛解例,完全寛解例のほとんどで経時的にレナリドミド耐性が発現し,再発もしくは del(5q) クローンの増殖と,臨床的・細胞遺伝学的な進行が認められた.
今回検討した del(5q) 骨髄異形成症候群患者において,臨床的・細胞遺伝学的完全寛解時に標的治療に対して選択的抵抗性を示す,特徴的な表現型のまれな del(5q) 骨髄異形成症候群幹細胞を同定した.(EuroCancerStemCell Consortium ほかから研究助成を受けた.)