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August 19, 2010 Vol. 363 No. 8

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転移性黒色腫患者の生存期間のイピリムマブによる改善
Improved Survival with Ipilimumab in Patients with Metastatic Melanoma

F.S. Hodi and Others

背景

転移性黒色腫患者の全生存期間の改善は困難であるとされている.イピリムマブ(ipilimumab)は,細胞傷害性 T リンパ球関連抗原 4(CTLA-4)を抑制して T 細胞の抗腫瘍効果を増強する.転移性黒色腫の既治療例を対象とした第 3 相試験において,イピリムマブの単独投与,イピリムマブと糖蛋白 100(gp100)ペプチドワクチンの併用投与 gp100 単独投与を比較した.

方 法

切除不能の III 期または IV 期の黒色腫を有する HLA-A0201 陽性の患者で,転移の治療中に疾患が進行した 676 例を,イピリムマブ+gp100 投与群(403 例),イピリムマブ単独投与群(137 例),gp100 単独投与群(136 例)に 3:1:1 の割合で無作為に割り付けた.イピリムマブは,gp100 との併用・非併用にかかわらず 3 mg/kg 体重を 3 週間ごとに,最高 4 回投与した(導入療法).適格患者は再導入療法を受けられることとした.主要エンドポイントは全生存期間とした.

結 果

全生存期間の中央値は,イピリムマブ+gp100 群で 10.0 ヵ月であったのに対し,gp100 単独群では 6.4 ヵ月であった(死亡のハザード比 0.68,P<0.001).イピリムマブ単独群の全生存期間の中央値は 10.1 ヵ月であった(gp100 単独群と比較した死亡のハザード比 0.66,P=0.003).イピリムマブを投与した 2 群で全生存期間に差は認められなかった(イピリムマブ+gp100 群のハザード比 1.04,P=0.76).グレード 3 または 4 の免疫関連有害事象は,イピリムマブ投与患者の 10~15%,gp100 単独投与患者の 3%でみられた.14 例(2.1%)が試験薬に関連して死亡し,うち 7 例は免疫関連有害事象に関連していた.

結 論

イピリムマブは,gp100 ペプチドワクチンの併用・非併用にかかわらず,gp100 単独治療と比較して,転移性黒色腫の既治療例の全生存期間を改善した.有害事象は,重度か長期間か,あるいはその双方となる可能性があるが,多くは適切な治療により回復する.(Medarex 社, Bristol-Myers Squibb 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00094653)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 711 - 23. )