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August 19, 2010 Vol. 363 No. 8

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転移性非小細胞肺癌患者に対する早期緩和ケア
Early Palliative Care for Patients with Metastatic Non–Small-Cell Lung Cancer

J.S. Temel and Others

背景

転移性非小細胞肺癌患者は,症状による負担が大きく,終末期に積極的治療を受ける場合がある.新たに転移性非小細胞肺癌と診断された外来患者において,診断後の早期の緩和ケア導入が,患者評価による治療転帰と終末期医療に及ぼす影響を検討した.

方 法

新たに転移性非小細胞肺癌と診断された患者を,癌の標準治療に早期緩和ケアを組み合わせて行う群と,標準治療のみを行う群のいずれかに無作為に割り付けた.ベースラインと 12 週目の QOL と気分を,癌治療の機能評価・肺(Functional Assessment of Cancer Therapy–Lung:FACT-L)尺度と,病院環境における不安と抑うつ尺度(Hospital Anxiety and Depression Scale)を用いて評価した.主要転帰は,12 週目における QOL の変化とした.終末期医療に関するデータは電子カルテから収集した.

結 果

無作為化した 151 例のうち,27 例が 12 週目までに死亡し,107 例(残りの患者の 86%)が評価を完了した.早期緩和ケア群のほうが,標準治療群より QOL が良好であった(FACT-L 尺度 [0~136 点で,スコアが高いほど QOL が良好であることを示す] の平均スコア 98.0 点 対 91.5点,P=0.03).また,早期緩和ケア群のほうが,抑うつ症状を有する患者が少なかった(16% 対 38%,P=0.01).終末期に積極的治療を受けた患者は,早期緩和ケア群のほうが標準治療群より少なかったにもかかわらず(33% 対 54%,P=0.05),生存期間の中央値は早期緩和ケア群のほうが長かった(11.6 ヵ月 対 8.9 ヵ月,P=0.02).

結 論

転移性非小細胞肺癌患者では,早期緩和ケアにより QOL と気分に有意な改善がもたらされた.標準治療群に比べ,早期緩和ケア群では終末期に積極的治療を受けることが少なかったが,生存期間は長かった.(米国臨床腫瘍学会 Career Development および慈善寄付から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01038271)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 733 - 42. )