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September 2, 2010 Vol. 363 No. 10

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過体重や肥満の患者における心血管系転帰に及ぼすシブトラミンの影響
Effect of Sibutramine on Cardiovascular Outcomes in Overweight and Obese Subjects

W.P.T. James and Others

背景

心血管リスクの高い患者に対するシブトラミン(sibutramine)治療が,心血管イベントや心血管系の原因による死亡の発生率に及ぼす長期的な影響は,明らかにされていない.

方 法

55 歳以上で,心血管疾患または 2 型糖尿病,あるいはその両方の既往がある,過体重または肥満の患者 10,744 例を試験に登録し,心血管イベントリスクが高い例を対象に,シブトラミン併用・非併用下での体重管理による心血管系転帰を評価した.6 週の単盲検の導入期間に,全例を体重管理プログラムに参加させ,シブトラミンを投与した.その後,9,804 例を二重盲検下でシブトラミン群(4,906 例)とプラセボ群(4,898 例)のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,無作為化から,主要転帰イベント(非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心停止後の蘇生,心血管系の原因による死亡)の初回発生までの期間とした.

結 果

平均治療期間は 3.4 年であった.導入期間中の平均体重減少は 2.6 kg であった.無作為化後,シブトラミン群の体重はさらに減少し,維持された(平均 1.7 kg).平均血圧は両群ともに低下したが,プラセボ群のほうがシブトラミン群より大幅に低下した(平均差 1.2/1.4 mmHg).主要転帰イベントのリスクは,シブトラミン群で 11.4%であったのに対し,プラセボ群では 10.0%であった(ハザード比 1.16,95%信頼区間 [CI] 1.03~1.31,P=0.02).非致死的心筋梗塞の発生率は,シブトラミン群 4.1%,プラセボ群 3.2%であり(ハザード比 1.28,95% CI 1.04~1.57,P=0.02),非致死的脳卒中の発生率は,シブトラミン群 2.6%,プラセボ群 1.9%であった(ハザード比 1.36,95% CI 1.04~1.77,P=0.03).心血管系の原因による死亡率と全死因死亡率は上昇しなかった.

結 論

心血管疾患の既往があり,シブトラミン治療を長期にわたり受けた患者では,非致死的心筋梗塞と非致死的脳卒中のリスクは上昇したが,心血管系の原因による死亡と全死因死亡のリスクは上昇しなかった.(Abbott 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00234832)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 905 - 17. )