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September 2, 2010 Vol. 363 No. 10

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急性冠症候群に対するクロピドグレルとアスピリンの投与量の比較
Dose Comparisons of Clopidogrel and Aspirin in Acute Coronary Syndromes

The CURRENT-OASIS 7 Investigators

背景

クロピドグレルとアスピリンは,急性冠症候群の患者や,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行する患者に広く使用されている.しかし,その両剤とも,投与量に関してエビデンスに基づいたガイドラインは確立されていない.

方 法

急性冠症候群を発症し,侵襲的治療に紹介された患者 25,086 例を,2 倍量のクロピドグレル投与(1 日目に負荷用量 600 mg,2~7 日目は 150 mg/日,その後は 75 mg/日)または標準用量のクロピドグレル投与(1 日目に負荷用量 300 mg,その後は 75 mg/日)に加え,高用量のアスピリン投与(300~325 mg/日)または低用量のアスピリン投与(75~100 mg/日)に,2×2 要因デザインで無作為に割り付けた.主要転帰は,30 日の時点での心血管系の原因による死亡,心筋梗塞,脳卒中とした.

結 果

主要転帰は,クロピドグレル 2 倍量群では 4.2%で認められたのに対し,標準用量群では 4.4%であった(ハザード比 0.94,95%信頼区間 [CI] 0.83~1.06,P=0.30).重大な出血は,2 倍量群の 2.5%,標準用量群の 2.0%で発生した(ハザード比 1.24,95% CI 1.05~1.46,P=0.01).PCI を受けた患者 17,263 例において,2 倍量のクロピドグレル投与は,副次的転帰であるステント血栓症の有意な減少と相関していた(1.6% 対 2.3%,ハザード比 0.68,95% CI 0.55~0.85,P=0.001).アスピリン投与については,高用量群と低用量群のあいだで,主要転帰(4.2% 対 4.4%,ハザード比 0.97,95% CI 0.86~1.09,P=0.61)や重大な出血(2.3% 対 2.3%,ハザード比 0.99,95% CI 0.84~1.17,P=0.90)に有意差は認められなかった.

結 論

急性冠症候群を発症し,侵襲的治療に紹介された患者では,7 日間にわたるクロピドグレルの 2 倍量レジメンと標準用量レジメンのあいだにも,アスピリンの高用量レジメンと低用量レジメンのあいだにも,主要転帰とした心血管系の原因による死亡,心筋梗塞,脳卒中に有意差は認められなかった.(Sanofi-Aventis 社,Bristol-Myers Squibb 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00335452)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 930 - 42. )