March 24, 2011 Vol. 364 No. 12
耐糖能異常における糖尿病の予防を目的としたピオグリタゾン
Pioglitazone for Diabetes Prevention in Impaired Glucose Tolerance
R.A. DeFronzo and Others
耐糖能異常は,心血管疾患の発生率と 2 型糖尿病への進行率の上昇に関連する.これらの予防・遅延につながる可能性のある介入が,臨床的に非常に重要である.
無作為化二重盲検プラセボ対照試験において,ピオグリタゾンにより,耐糖能異常を有する成人の 2 型糖尿病リスクを低減できるかどうかを検討した.602 例をピオグリタゾン群またはプラセボ群に無作為に割り付けた.追跡期間中央値は 2.4 年であった.空腹時血糖を年 4 回測定し,経口ブドウ糖負荷試験を年 1 回行った.糖尿病への進行は,反復検査の結果に基づき確認した.
2 型糖尿病の年間発生率はピオグリタゾン群 2.1%,プラセボ群 7.6%で,ピオグリタゾン群における糖尿病への進行のハザード比は 0.28(95%信頼区間 0.16~0.49,P<0.001)であった.耐糖能が正常化したのは,ピオグリタゾン群 48%,プラセボ群 28%であった(P<0.001).ピオグリタゾンによる治療はプラセボと比べて,空腹時血糖値の有意な低下(11.7 mg/dL 対 8.1 mg/dL [0.7 mmol/L 対 0.5 mmol/L],P<0.001),食後 2 時間血糖値の有意な低下(30.5 mg/dL 対 15.6 mg/dL [1.6 mmol/L 対 0.9 mmol/L],P<0.001),HbA1c 値の有意な低下(0.04 パーセントポイント低下 対 0.20 パーセントポイント上昇,P<0.001)に関連していた.ピオグリタゾン治療は,拡張期血圧の低下(2.0 mmHg 対 0.0 mmHg,P=0.03),頸動脈内膜中膜肥厚度の低下(31.5%,P=0.047),高比重リポ蛋白コレステロール値のより大きな上昇(7.35 mg/dL 対 4.5 mg/dL [0.4 mmol/L 対 0.3 mmol/L],P=0.008)にも関連していた.ピオグリタゾン群ではプラセボ群と比べて体重増加が大きく(3.9 kg 対 0.77 kg,P<0.001),浮腫の頻度が高かった(12.9% 対 6.4%,P=0.007).
プラセボと比べて,ピオグリタゾンは耐糖能異常から 2 型糖尿病へ進行するリスクを 72%低下させたが,有意な体重増加と浮腫の発現を伴った.(武田薬品工業ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00220961)