The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 24, 2011 Vol. 364 No. 12

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

欧州人における HLA-A3101 とカルバマゼピン 誘発性過敏反応
HLA-A3101 and Carbamazepine-Induced Hypersensitivity Reactions in Europeans

M. McCormack and Others

背景

カルバマゼピンは,斑状丘疹性皮疹から重症の水疱まで,さまざまな病型の過敏反応を引き起こす.HLA-B1502 対立遺伝子は,中国人とその他のアジア人集団のカルバマゼピン誘発性のスティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症(SJS/TEN)と強く相関することが示されているが,欧州人集団については示されていない.

方 法

欧州人を祖先にもつ,カルバマゼピン誘発性過敏症症候群患者 22 例,カルバマゼピン誘発性斑状丘疹性皮疹患者 43 例,対照 3,987 例の検体を用いて,ゲノムワイド関連解析を行った.代理一塩基多型と遺伝子型推定を用いて,疾患と HLA 対立遺伝子との関連を調査し,関連を高分解能の配列に基づく HLA タイピングで確認した.再現性の確認を,カルバマゼピン誘発性過敏反応がみられる 145 例の検体を用いて行った.

結 果

HLA-A3101 対立遺伝子は,北欧集団の 2~5%にみられ,過敏症症候群と有意に関連していた(P=3.5×10-8).斑状丘疹性皮疹患者の検体を用いて独立に行ったゲノムワイド関連解析でも,HLA-A3101 対立遺伝子との関連が示された(P=1.1×10-6).続いて行った遺伝子型解析で,この変異型が,過敏症症候群(オッズ比 12.41,95%信頼区間 [CI] 1.27~121.03),斑状丘疹性皮疹(オッズ比 8.33,95% CI 3.59~19.36),SJS/TEN(オッズ比 25.93,95% CI 4.93~116.18)の危険因子であることが確認された.

結 論

北欧系の被験者において,HLA-A3101 対立遺伝子の存在はカルバマゼピン誘発性過敏反応と関連していた.この対立遺伝子が存在する場合はリスクが 5.0%から 26.0%に上昇するが,存在しない場合は 5.0%から 3.8%に減少した.(英国保健省ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1134 - 43. )