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April 7, 2011 Vol. 364 No. 14

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重症患者におけるダルテパリンと未分画ヘパリンの比較
Dalteparin versus Unfractionated Heparin in Critically Ill Patients

The PROTECT Investigators for the Canadian Critical Care Trials Group and the Australian and New Zealand Intensive Care Society Clinical Trials Group

背景

重症患者の血栓予防に用いる低分子ヘパリンの効果を未分画ヘパリンと比較した場合の,静脈血栓塞栓症,出血,その他の転帰に及ぼす影響は明らかにされていない.

方 法

多施設試験において,集中治療室に入室している患者 3,764 例を,ダルテパリン(5,000 IU)とプラセボを各 1 日 1 回皮下投与する群と,未分画ヘパリン(5,000 IU)を 1 日 2 回投与する群のいずれかに無作為に割り付け,未分画ヘパリンに対するダルテパリンの優位性を検討した.主要転帰は近位下肢深部静脈血栓症とし,圧迫超音波検査を入院後 2 日以内とその後は週 2 回,臨床的に適応とされた場合に実施し,これに基づいて診断することとした.臨床的に適応とされた場合は,ほかの静脈血栓症検査も行うこととした.データは intention-to-treat の原則に従って解析した.

結 果

近位下肢深部静脈血栓症の発生率に有意な群間差はみられず,ダルテパリン群では 1,873 例中 96 例(5.1%)であったのに対し,未分画ヘパリン群では 1,873 例中 109 例(5.8%)であった(ダルテパリン群のハザード比 0.92,95%信頼区間 [CI] 0.68~1.23,P=0.57).肺塞栓患者の割合は,ダルテパリン群(24 例,1.3%)のほうが未分画ヘパリン群(43 例,2.3%)より有意に低かった(ハザード比 0.51,95% CI 0.30~0.88,P=0.01).重大な出血の発生率(ハザード比 1.00,95% CI 0.75~1.34,P=0.98),院内死亡率(ハザード比 0.92,95% CI 0.80~1.05,P=0.21)について,有意な群間差はみられなかった.事前に規定した per-protocol 解析によると,結果は主要解析と同様であったが,ダルテパリン群のほうがヘパリン誘発性血小板減少症を呈した患者が少なかった(ハザード比 0.27,95% CI 0.08~0.98,P=0.046).

結 論

重症患者における近位深部静脈血栓症の発生率の低下について,未分画ヘパリンに対するダルテパリンの優位性は認められなかった.(カナダ保健研究機構ほかから研究助成を受けた.PROTECT ClinicalTrials.gov 番号:NCT00182143)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1305 - 14. )