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June 30, 2011 Vol. 364 No. 26

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骨髄異形成症候群における点突然変異の臨床的影響
Clinical Effect of Point Mutations in Myelodysplastic Syndromes

R. Bejar and Others

背景

骨髄異形成症候群は,クローン性造血,分化異常,末梢血球減少,急性骨髄性白血病への移行リスクを特徴とする臨床的に多様な疾患である.体細胞変異が臨床的表現型に影響を及ぼす可能性があるが,現行の予後スコアリングシステムには含まれていない.

方 法

次世代配列決定法,質量分析に基づく遺伝子型決定を含むゲノムアプローチを併用して,骨髄異形成症候群患者 439 例の骨髄穿刺液標本において変異を同定した.さらに,各遺伝子の変異が,特定の血球減少,骨髄芽球の割合,全生存率などの臨床的変数に関連するかどうかを検討した.

結 果

骨髄異形成症候群患者における変異がこれまでに報告されていない ETV6GNAS の 2 個を含む,18 個の遺伝子に体細胞変異が同定された.患者全体の 51%に 1 個以上の点突然変異が認められ,そのような患者の 52%では細胞遺伝学的所見が正常であった.RUNX1TP53NRAS の変異は,重度の血小板減少(すべての比較について P<0.001)および骨髄芽球の割合の増加(すべての比較について P<0.006)ともっとも強い相関を示した.多変量 Cox 回帰モデルでは,次の 5 個の遺伝子における変異の存在が,独立した予後的意義を保持していた:TP53(全死因死亡のハザード比 2.48,95%信頼区間 [CI] 1.60~3.84),EZH2(ハザード比 2.13,95% CI 1.36~3.33),ETV6(ハザード比 2.04,95% CI 1.08~3.86),RUNX1(ハザード比 1.47,95% CI 1.01~2.15),ASXL1(ハザード比 1.38,95% CI 1.00~1.89).

結 論

骨髄異形成症候群では体細胞点突然変異が高頻度に認められ,特異的な臨床像と関連している.TP53EZH2ETV6RUNX1ASXL1 の変異は,骨髄異形成症候群患者において,確立された危険因子とは独立して不良な全生存率の予測因子である.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 2496 - 506. )