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July 14, 2011 Vol. 365 No. 2

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限局性前立腺癌に対する放射線療法と短期アンドロゲン抑制療法の併用
Radiotherapy and Short-Term Androgen Deprivation for Localized Prostate Cancer

C.U. Jones and Others

背景

早期の限局性前立腺癌患者に対する放射線療法の施行前・施行中に短期アンドロゲン抑制療法(ADT)を行うことにより,癌制御と全生存率が改善するかどうかは明らかにされていない.

方 法

1994~2001 年に,T1b,T1c,T2a,T2b の前立腺癌で,前立腺特異抗原(PSA)値が 20 ng/mL 以下の 1,979 例を,放射線療法を単独で行う群(992 例)と,アンドロゲン完全遮断を放射線療法の 2 ヵ月前に開始し,4 ヵ月間行う群(放射線療法+短期 ADT,987 例)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは全生存率とした.副次的エンドポイントは,死因別死亡率,遠隔転移,生化学的な失敗(PSA 値の上昇),2 年の時点における前立腺再生検での陽性所見率などとした.

結 果

追跡期間の中央値は 9.1 年であった.10 年全生存率は,放射線療法+短期 ADT 群(併用群)では 62%であったのに対し,放射線療法単独群では 57%であった(放射線療法単独群における死亡のハザード比 1.17,P=0.03).短期 ADT の追加は,10 年死因別死亡率の 8%から 4%への低下に関連していた(放射線療法単独群におけるハザード比 1.87,P=0.001).放射線療法+短期 ADT 群では,生化学的な失敗,遠隔転移,2 年の時点における前立腺再生検での陽性所見率が有意に改善した.放射線照射に起因する急性毒性・遅発性毒性の発現率は両群で同程度であった.ホルモンに関連したグレード 3 以上の毒性の発現率は 5%未満であった.リスクに基づく再解析では,全死亡率と死因別死亡率の低下は主に中間リスクの患者でみられたが,低リスクの患者では有意な低下はみられなかった.

結 論

T1b,T1c,T2a,T2b の前立腺癌で,PSA 値が 20 ng/mL 以下の患者に対する放射線療法において,施行前・施行中に行う 4 ヵ月間の短期 ADT は,有意な死因別死亡率の低下と全生存率の上昇に関連していた.リスクに基づく事後解析によると,有益性は主に中間リスクの男性でみられ,低リスクの男性ではみられなかった.(米国国立癌研究所から研究助成を受けた.RTOG 94-08 ClinicalTrials.gov 番号:NCT00002597)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 107 - 18. )