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November 17, 2011 Vol. 365 No. 20

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小児期の脂肪過多,成人期の脂肪過多,および心血管危険因子
Childhood Adiposity, Adult Adiposity, and Cardiovascular Risk Factors

M. Juonala and Others

背景

小児期の肥満は心血管リスクの上昇に関連する.小児期に過体重または肥満であったが成人後は肥満ではなくなった人で,このリスクが軽減されるかどうかは明らかではない.

方 法

小児期と成人期の体格指数(BMI,体重 [kg]/身長 [m]2)を測定した前向きコホート研究 4 件のデータを解析した.平均追跡期間は 23 年であった.高脂肪状態の定義には,小児については過体重と肥満に関する国際的な年齢別・男女別の BMI カットオフ値を用い,成人については BMI カットオフ値を 30 とした.

結 果

6,328 人のデータが得られた.小児期から成人期まで一貫して高脂肪状態にあった人では,小児期に BMI が正常で成人期も肥満でなかった人と比較して,2 型糖尿病(相対リスク 5.4,95%信頼区間 [CI] 3.4~8.5),高血圧(相対リスク 2.7,95% CI 2.2~3.3),低比重リポ蛋白コレステロール値上昇(相対リスク 1.8,95% CI 1.4~2.3),高比重リポ蛋白コレステロール値低下(相対リスク 2.1,95% CI 1.8~2.5),トリグリセリド値上昇(相対リスク 3.0,95% CI 2.4~3.8),頸動脈アテローム硬化(頸動脈内膜中膜厚の増加)(相対リスク 1.7,95% CI 1.4~2.2)のリスクが上昇した(すべての比較において P≦0.002).小児期に過体重または肥満であったが,成人後は肥満ではなくなった人におけるこれらの転帰のリスクは,小児期から成人期まで BMI が一貫して正常であった人のリスクと同程度であった(すべての比較において P>0.20).

結 論

過体重または肥満の小児が成人後も肥満であった場合に,2 型糖尿病,高血圧,脂質異常症,頸動脈アテローム硬化のリスクが上昇した.過体重または肥満の小児が成人するまでに肥満でなくなった場合,これらの転帰のリスクは肥満になったことがない人と同程度であった.(フィンランドアカデミーほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 1876 - 85. )