The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 7, 2011 Vol. 365 No. 1

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

HIV 曝露児の結核に対するイソニアジドによる一次予防
Primary Isoniazid Prophylaxis against Tuberculosis in HIV-Exposed Children

S.A. Madhi and Others

背景

サハラ以南のアフリカにおいて,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)と結核の同時流行は疾病と死亡の主な原因となっている.われわれは,HIV 感染児と周産期に HIV に曝露された非感染児を対象に,イソニアジドによる結核曝露前予防を行う無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.

方 法

HIV 感染乳児 548 例と非感染乳児 804 例(生後 91~120 日)を,96 週間イソニアジド(10~20 mg/kg 体重/日)を投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.全例が生後 30 日以内に結核に対するカルメット・ゲラン菌(BCG)接種を受けた.HIV 感染児には抗レトロウイルス療法を受ける機会が与えられた.主要転帰評価項目は,無作為化後 96~108 週以内での,HIV 感染児においては結核発症と死亡,HIV 非感染児においては潜在性結核感染,結核発症,死亡とした.

結 果

試験期間中,HIV 感染児の 98.9%に抗レトロウイルス療法が開始された.HIV 感染児において,プロトコールで規定した結核または死亡の発生数は,イソニアジド群 52 例(19.0%),プラセボ群 53 例(19.3%)であった(P=0.93).HIV 非感染児では,結核感染・結核発症・死亡の複合発生率に,イソニアジド群(39 例,10%)とプラセボ群(45 例,11%)とのあいだで有意差は認められなかった(P=0.44).結核罹患率は,HIV 感染児では 1,000 人年あたり 121 例(95%信頼区間 [CI] 95~153)であったのに対し,非感染児では 1,000 人年あたり 41 例(95% CI 31~52)であった.臨床毒性または臨床検査上の重度の毒性に,2 群間で有意差は認められなかった.

結 論

イソニアジドによる一次予防では,HIV 感染児における結核未発症生存率,および BCG 接種を受けた HIV 非感染児における結核未感染生存率に改善はみられなかった.抗レトロウイルス療法を受ける機会が与えられているにもかかわらず,HIV 感染児における結核の負担は依然として大きかった.(米国国立衛生研究所,Secure the Future から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00080119)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 21 - 31. )