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August 11, 2011 Vol. 365 No. 6

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早期抗レトロウイルス療法による HIV-1 感染の予防
Prevention of HIV-1 Infection with Early Antiretroviral Therapy

M.S. Cohen and Others

背景

ウイルス複製を減少させる抗レトロウイルス療法によって,ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)血清陽性者・陰性者カップル間での伝播を抑制できる可能性がある.

方 法

9 ヵ国において,HIV-1 陽性パートナーと HIV-1 陰性パートナーのカップル 1,763 組を登録した.被験者の 54%がアフリカ出身で,感染したパートナーの 50%が男性であった.CD4 数が 350~550 個/mm3 の HIV 感染者を,抗レトロウイルス療法を即時に行う群(早期療法群)と,CD4 数低下または HIV-1 関連症状発現後に行う群(待期療法群)に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要予防エンドポイントは,HIV-1 陰性パートナーにおける,陽性パートナーに関連する HIV-1 伝播とした.主要臨床エンドポイントは,肺結核,重症細菌感染症,世界保健機関(WHO)ステージ 4 のイベント,死亡のいずれかで最初に発生したものとした.

結 果

2011 年 2 月 21 日の時点で,計 39 件の HIV-1 伝播が認められた(発生率 100 人年あたり 1.2,95%信頼区間 [CI] 0.9~1.7).このうち 28 件で,感染したパートナーとのウイルス学的関連が認められた(発生率 100 人年あたり 0.9,95% CI 0.6~1.3).関連のある伝播 28 件のうち,早期療法群で発生したのは 1 件のみであった(ハザード比 0.04,95% CI 0.01~0.27,P<0.001).早期療法群では,治療エンドポイント発生例がより少なかった(ハザード比 0.59,95% CI 0.40~0.88,P=0.01).

結 論

抗レトロウイルス療法の早期開始によって,性行為による HIV-1 伝播と臨床的イベントの発生率が低下した.このような治療により,個人レベルでも公衆衛生上でも利益がもたらされることが示唆される.(米国国立アレルギー感染症研究所ほかから研究助成を受けた.HPTN 052 ClinicalTrials.gov 番号:NCT00074581)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 493 - 505. )