The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 18, 2011 Vol. 365 No. 7

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

高リスク手術患者集団における術中覚醒の予防
Prevention of Intraoperative Awareness in a High-Risk Surgical Population

M.S. Avidan and Others

背景

予期せぬ術中覚醒は,全身麻酔が得られないか,維持されない場合に起こるが,周術期合併症のリスクが高い患者の 1%近くに発生する.覚醒の予防には,標準的な呼気終末麻酔薬濃度(ETAC)モニタリングを行うプロトコールよりも,脳波から求めるバイスペクトラルインデックス(BIS)を用いるプロトコールのほうが優れているという仮説を検証した.

方 法

3 ヵ所の医療機関で前向き無作為化単盲検試験を実施した.覚醒のリスクが高い患者 6,041 例を,BIS を指標とした麻酔を行う群(BIS は検出可能な脳電気活動が抑制された状態を 0,覚醒状態を 100 とする 0~100 の尺度で,40 未満か 60 超で警報が鳴る)か,ETAC を指標とした麻酔を行う群(ETAC が最小肺胞内濃度 0.7 未満か 1.3 超で警報が鳴る)に無作為に割り付けた.プロトコールには,警報に加えて,計画的教育とチェックリストが含まれた.Fisher の正確確率検定の片側検定を用いて,BIS プロトコールの優越性を評価した.

結 果

術後に面接調査を行った患者で明確な術中覚醒が生じたのは,BIS 群では 2,861 例中 7 例(0.24%)に対し,ETAC 群では 2,852 例中 2 例(0.07%)であった(差 0.17 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -0.03~0.38,P=0.98).したがって BIS プロトコールの優越性は示されなかった.明確な術中覚醒が生じたかまたはその疑いがあったのは,BIS 群 19 例(0.66%)に対し ETAC 群 8 例(0.28%)であり(差 0.38 パーセントポイント,95% CI 0.03~0.74,P=0.99),この場合も BIS を用いたプロトコールの優越性は示されなかった.麻酔薬の投与量と術後主要有害転帰の発生率に 2 群で差は認められなかった.

結 論

BIS プロトコールの優越性は確立されなかった.そして予想に反し,覚醒をきたした患者は ETAC 群のほうが BIS 群より少なかった.(麻酔教育研究基金ほかから研究助成を受けた.BAG-RECALL ClinicalTrials.gov 番号:NCT00682825)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 591 - 600. )