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August 18, 2011 Vol. 365 No. 7

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インターロイキン-36 受容体アンタゴニスト欠損と汎発性膿疱性乾癬
Interleukin-36-Receptor Antagonist Deficiency and Generalized Pustular Psoriasis

S. Marrakchi and Others

背景

汎発性膿疱性乾癬は,生命に関わる原因不明の疾患である.この疾患は,突然の繰り返し起こる高熱,全身性紅斑,広汎性膿疱と,白血球増多症,血清 C 反応性蛋白値上昇を特徴とし,尋常性乾癬と関連する可能性がある.

方 法

チュニジアの常染色体劣性汎発性膿疱性乾癬多発家系 9 家系において,ホモ接合マッピングと直接塩基配列決定を行った.変異が蛋白の発現・構造,安定性,機能に及ぼす影響を評価した.

結 果

染色体 2q13-q14.1 上の 1.2 メガベース区間との有意な連鎖と,抗炎症性サイトカインのインターロイキン-36 受容体アンタゴニスト(インターロイキン-36Ra)をコードする IL36RN のホモ接合ミスセンス変異を同定した.この変異により,アミノ酸位置 27 におけるロイシンのプロリン残基への置換(L27P)が予測される.ヒトインターロイキン-36Ra の相同性に基づく構造モデリングにより,27 位のプロリンが,インターロイキン-36Ra の安定性と,その受容体であるインターロイキン-1 受容体様 2(インターロイキン-1 受容体関連蛋白 2)との相互作用の両方に影響を及ぼすことが示唆される.生化学分析により,L27P 変異体は発現が低く,インターロイキン-8 レポーターアッセイにおいてサイトカイン誘導性の反応を抑制する作用が非変異インターロイキン-36Ra より低く,患者のケラチノサイトによる炎症性サイトカイン(とくにインターロイキン-8)産生を亢進させることが示された.

結 論

インターロイキン-36Ra の異常な構造と機能が,炎症性サイトカインの無秩序な分泌と汎発性膿疱性乾癬を引き起こす.(フランス国立研究機構,フランス皮膚科学会から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 620 - 8. )