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August 18, 2011 Vol. 365 No. 7

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医師の専門領域による医療過誤リスク
Malpractice Risk According to Physician Specialty

A.B. Jena and Others

背景

医療過誤に対する損害賠償請求を受ける医師の年間の割合,その損害賠償額,専門領域別の累積医療過誤リスクに関するデータは不足している.

方 法

全米規模の顧客(医師 40,916 名,保険対象 233,738 医師・年)を抱える大規模な専門家賠償責任保険会社の補償を受けたすべての医師の,1991~2005 年の医療過誤データを分析した.25 の専門領域について,医療過誤に対する損害賠償を受けた医師の年間の割合,損害賠償金の支払い(原告に対する金銭での補償)にいたった請求の割合,損害賠償額を報告する.高リスクと低リスクの専門領域の医師が一度でも損害賠償請求を受ける累積リスクを推定した.

結 果

研究対象期間の各年に,すべての医師の 7.4%が医療過誤に対する損害賠償請求を受け,1.6%が支払いにいたる請求を受けた(すなわち,全損害賠償請求の 78%は請求者に対する支払いにいたらなかった).各年で損害賠償請求を受けた医師の割合は,高いものは脳神経外科の 19.1%,胸部・心血管外科の 18.9%,一般外科の 15.3%で,低いものは家庭医学の 5.2%,小児科の 3.1%,精神科の 2.6%であった.損害賠償額は平均 274,887 ドル,中央値 111,749 ドルであった.平均支払額は,低いものは皮膚科の 117,832 ドル,高いものは小児科の 520,923 ドルであった.推定で 65 歳までに医療過誤に対する損害賠償請求を受ける割合は,低リスクの専門領域の医師で 75%,高リスクの専門領域の医師で 99%と推定された.

結 論

医療過誤訴訟を起こされる確率と損害賠償額には,専門領域によって大きなばらつきが認められた.医療過誤に対する損害賠償請求を受ける累積リスクはすべての専門領域で高いが,請求の大部分は請求者への支払いにはいたらない.(RAND Institute for Civil Justice および米国国立老化研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 629 - 36. )