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August 25, 2011 Vol. 365 No. 8

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慢性閉塞性肺疾患の増悪予防に用いるアジスロマイシン
Azithromycin for Prevention of Exacerbations of COPD

R.K. Albert and Others

背景

慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において,急性増悪は悪影響を及ぼす.マクロライド系抗菌薬は,さまざまな炎症性気道疾患を有する患者に有益である.

方 法

増悪リスクは高いが,聴覚障害・安静時頻脈は認めず,補正 QT 間隔延長の明確なリスクを有しない COPD 患者を対象に,アジスロマイシンによって増悪の頻度が低下するかどうかを検討することを目的として無作為化試験を行った.

結 果

1,577 例をスクリーニングし,うち 1,142 例(72%)を,1 年にわたり標準治療に加えてアジスロマイシン 250 mg/日を投与する群(570 例)とプラセボを投与する群(572 例)に無作為に割り付けた.1 年間の追跡を完了した患者の割合は,アジスロマイシン群 89%,プラセボ群 90%であった.初回増悪までの期間の中央値は,アジスロマイシン群で 266 日(95%信頼区間 [CI] 227~313)であったのに対し,プラセボ群では 174 日(95% CI 143~215)であった(P<0.001).増悪の頻度は,アジスロマイシン群で患者・年あたり 1.48 回であったのに対し,プラセボ群では患者・年あたり 1.83 回であり(P=0.01),アジスロマイシン群における患者・年あたりの COPD 急性増悪発生のハザード比は 0.73(95% CI 0.63~0.84)であった(P<0.001).St. George 呼吸器質問票(0~100 で,スコアが低いほど機能が良好であることを示す)のスコア改善は,アジスロマイシン群のほうがプラセボ群よりも大きく(低下の平均 [±SD] 2.8±12.1 対 0.6±11.4,P=0.006),最小有意差である 4 単位以上の低下がみられた患者の割合は,アジスロマイシン群で 43%であったのに対し,プラセボ群では 36%であった(P=0.03).聴力低下はアジスロマイシン群でプラセボ群よりも多く認められた(25% 対 20%,P=0.04).

結 論

特定の COPD 患者では,標準治療に加えてアジスロマイシンを 1 年間連日服用することで,増悪の頻度が低下し QOL が改善したが,ごく一部の患者で聴力低下が生じた.この介入によって微生物の薬剤耐性パターンが変化する可能性があるが,それによる影響は不明である.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00325897)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 689 - 98. )