August 25, 2011 Vol. 365 No. 8
急性冠症候群発症後のアピキサバンと抗血小板療法の併用
Apixaban with Antiplatelet Therapy after Acute Coronary Syndrome
J.H. Alexander and Others
急性冠症候群の発症後に,経口直接作用型第 Xa 因子阻害薬アピキサバン(apixaban)を抗血小板療法と併用することで,虚血性イベントの再発リスクが減少する可能性がある.
急性冠症候群を最近発症し,虚血性イベントの再発の危険因子をほかに 2 つ以上有する患者を対象として,標準的な抗血小板療法に加えて,アピキサバン 5 mg を 1 日 2 回投与する群とプラセボを投与する群を比較する無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験を行った.
アピキサバン群では重大な出血が増加し,それを相殺するだけの虚血性イベント再発の減少はみられなかったため,7,392 例を登録した時点で試験は早期に中止された.中央値 241 日間の追跡調査で,主要転帰とした心血管死,心筋梗塞,脳梗塞が,アピキサバン群 3,705 例中 279 例(7.5%,100 患者・年あたり 13.2 件),プラセボ群 3,687 例中 293 例(7.9%,100 患者・年あたり 14.0 件)で発生した(アピキサバンとのハザード比 0.95,95%信頼区間 [CI] 0.80~1.11,P=0.51).安全性の主要転帰である心筋梗塞血栓溶解(TIMI)の定義に基づく重大な出血は,アピキサバンの投与を 1 回以上受けた 3,673 例中 46 例(1.3%,100 患者・年あたり 2.4 件),プラセボの投与を 1 回以上受けた 3,642 例中 18 例(0.5%,100 患者・年あたり 0.9 件)で発生した(アピキサバンとのハザード比 2.59,95% CI 1.50~4.46,P=0.001).アピキサバン群では,頭蓋内出血と致死的出血がプラセボ群よりも多く認められた.
急性冠症候群を発症した高リスク患者にアピキサバン 5 mg 1 日 2 回投与を抗血小板療法と併用することで,虚血性イベントの再発が有意に減少することなく重大な出血の発生頻度が上昇した.(Bristol-Myers Squibb 社,Pfizer 社から研究助成を受けた.APPRAISE-2 ClinicalTrials.gov 番号:NCT00831441)