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April 12, 2012 Vol. 366 No. 15

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急性冠症候群が疑われる患者の安全な退院のための CT 血管造影
CT Angiography for Safe Discharge of Patients with Possible Acute Coronary Syndromes

H.I. Litt and Others

背景

急性冠症候群が疑われ救急部に搬送される患者の入院率は高いが,このような患者のほとんどでは,心臓が原因の症状ではないことが最終的に判明する.冠動脈 CT 血管造影(CCTA)は,冠動脈疾患の発見における陰性適中率が非常に高いが,救急部から患者を退院させることが安全かどうかを判断するうえでの有用性は十分には確立されていない.

方 法

急性冠症候群が疑われ救急部に搬送された低~中間リスクの患者を,CCTA 群と通常診療群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.米国の 5 施設で患者を登録した.Thrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)リスクスコアが 0~2 で,かつ入院または検査を要する徴候または症状が認められる 30 歳以上の患者を適格とした.主要転帰は,CCTA 検査陰性の患者のサブグループにおいて評価した安全性とし,受診後最初の 30 日間に心筋梗塞と心臓死がみられないことと定義した.

結 果

1,370 例を登録し,908 例を CCTA 群に,462 例を通常診療群に割り付けた.両群の患者背景は類似していた.CCTA 検査陰性であった 640 例で,30 日以内に死亡や心筋梗塞は発生しなかった(0%,95%信頼区間 [CI] 0~0.57).CCTA 群では,通常診療群と比較して救急部からの退院率が高く(49.6% 対 22.7%,差 26.8 パーセントポイント,95% CI 21.4~32.2),入院期間が短く(中央値 18.0 時間 対 24.8 時間,P<0.001),冠動脈疾患の発見率が高かった(9.0% 対 3.5%,差 5.6 パーセントポイント,95% CI 0~11.2).重篤な有害事象が各群で 1 件認められた.

結 論

急性冠症候群が疑われ救急部に搬送される低~中間リスクの患者に対し CCTA 戦略を用いることにより,それ以外の検査戦略では入院することになったであろう多くの患者が,救急部から安全かつ速やかに退院できると思われる.(ペンシルベニア州保健局,米国放射線学会画像ネットワーク基金から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00933400)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 1393 - 403. )