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April 26, 2012 Vol. 366 No. 17

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プレミア pay for performance が患者転帰に及ぼす長期的影響
The Long-Term Effect of Premier Pay for Performance on Patient Outcomes

A.K. Jha and Others

背景

pay for performance(医療の質に対する支払い)は医療の向上を図る取組みの中心的戦略となっている.われわれは,メディケアのプレミア病院品質インセンティブデモンストレーション(HQID)の患者転帰に対する長期的影響を評価した.

方 法

メディケアデータを用いて,プレミア HQID に参加している 252 の病院と情報公開にのみ参加している 3,363 の対照病院とで転帰を比較した.2003~09 年に,急性心筋梗塞,うっ血性心不全,肺炎を起こした患者,または冠動脈バイパス術(CABG)を受けた患者 600 万例以上の 30 日死亡率を調査した.

結 果

ベースラインにおいて,プレミア病院と非プレミア病院の複合 30 日死亡率は同程度であった(それぞれ 12.33%と 12.40%,差 -0.07 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -0.40~0.26).2 つの病院グループで,四半期あたりの死亡率の低下率も同程度であり(それぞれ 0.04%と 0.04%,差 -0.01 パーセントポイント,95% CI -0.02~0.01),pay for performance 制度下では 6 年後も死亡率は同程度であった(プレミア病院 11.82%,非プレミア病院 11.74%,差 0.08 パーセントポイント,95% CI -0.30~0.46).pay for performance が死亡率に及ぼす影響は,転帰が明確にインセンティブと関連している病態(急性心筋梗塞と CABG)においても,またインセンティブと関連していない病態(うっ血性心不全と肺炎)においても,有意差は認められなかった(交互作用の P=0.36).ベースラインの成績が不良であった病院では,研究開始時の死亡率は 2 つの病院グループで同程度であり(15.12%と 14.73%,差 0.39 パーセントポイント,95% CI -0.36~1.15),四半期あたりの改善率も同程度で(0.10%と 0.07%,差 -0.03 パーセントポイント,95% CI -0.08~0.02),研究終了時の死亡率も同程度であった(13.37%と 13.21%,差 0.15 パーセントポイント,95% CI -0.70~1.01).

結 論

最大規模の病院ベースの pay for performance プログラムにより 30 日死亡率が低下するというエビデンスは得られなかった.したがって,プレミア HQID をモデルにしたプログラムに対する転帰改善への期待は,控えめにしておくべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 1606 - 15. )