腹圧性尿失禁手術前に行う尿流動態検査に関する無作為化試験
A Randomized Trial of Urodynamic Testing before Stress-Incontinence Surgery
C.W. Nager and Others
腹圧性尿失禁の女性では,手術前に尿流動態検査が行われることが多いが,これによって転帰が改善することを示す十分な証拠は存在しない.
合併症のない明確な腹圧性尿失禁の女性を対象とした多施設共同無作為化非劣性試験において,手術前に診察と尿流動態検査を行った場合と,診察のみを行った場合の転帰を比較した.主要転帰は術後 12 ヵ月での治療成功とし,泌尿生殖器の困窮度に関する質問票のスコアが 70%以上低下し,かつ患者による改善に関する全般的印象尺度の回答が「大きく改善」または「きわめて大きく改善」であることと定義した.非劣性マージンは 11 パーセントポイントと事前に規定した.
630 例を,診察と尿流動態検査を行う群と,診察のみを行う群に無作為に割り付けた(各群 315 例).治療成功例の割合は,尿流動態検査群 76.9%に対し診察単独群 77.2%で(差 -0.3 パーセントポイント,95%信頼区間 -7.5~6.9),非劣性が示された.失禁の重症度,QOL,患者の満足度,腹圧誘発テスト陽性率,排尿障害,有害事象といった副次的指標には,群間で有意差は認められなかった.尿流動態検査を受けた女性は過活動膀胱と診断される場合が有意に少なく,排尿相の障害と診断される場合が有意に多かったが,こうした診断の変更は,治療法の選択や転帰に群間で有意差をもたらさなかった.
合併症のない明確な腹圧性尿失禁の女性において,手術前に診察のみを行った場合,1 年後の転帰は診察と尿流動態検査を行った場合と比較して非劣性であった.(米国国立糖尿病・消化器・腎疾患研究所,米国ユニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健・人間発達研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00803959)