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January 19, 2012 Vol. 366 No. 3

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C 型肝炎遺伝子型 1 型に対する 2 つの抗ウイルス薬の予備的研究
Preliminary Study of Two Antiviral Agents for Hepatitis C Genotype 1

A.S. Lok and Others

背景

C 型肝炎ウイルス(HCV)に慢性感染し,ペグインターフェロン+リバビリン併用療法に反応しなかった患者には,治療レジメンに複数の直接作用型抗ウイルス薬を追加することが有益となる可能性がある.

方 法

HCV 遺伝子型 1 型に慢性感染し,それまでの治療に反応しなかった(ペグインターフェロン+リバビリン併用療法を 12 週間以上行っても HCV RNA が 2 log10 以上低下しなかった)患者 21 例から成る予備的コホート集団を対象に非盲検第 2a 相試験を行った.患者を,NS5A 複製複合体阻害薬ダクラタスビル(daclatasvir)(60 mg 1 日 1 回)+NS3 プロテアーゼ阻害薬アスナプレピル(asunaprevir)(600 mg 1 日 2 回)のみを投与する群(A 群,11 例)と,これらにペグインターフェロンα-2a+リバビリンを併用する群(B 群,10 例)に無作為に割り付け,投与を 24 週間行った.主要エンドポイントは,治療期間終了後 12 週でウイルス排除(sustained virologic response:SVR)が得られた患者の割合とした.

結 果

A 群では 4 例(36%;HCV 遺伝子型 1a 型 9 例中 2 例,遺伝子型 1b 型 2 例中 2 例)で治療後 12 週の時点で SVR が得られ,24 週の時点でも確認された.6 例(全例が HCV 遺伝子型 1a 型)が治療中にウイルス再燃(viral breakthrough)をきたし,全例で両抗ウイルス薬に対する耐性変異が認められた;1 例は治療終了時には SVR が得られていたが,終了後に再発した.B 群では全 10 例で治療後 12 週の時点で SVR が得られ,また 9 例では治療後 24 週の時点でも確認された.もっとも頻度の高い有害事象は両群ともに下痢であった.6 例に,アラニンアミノトランスフェラーゼの正常上限値の 3 倍を超える一過性の上昇がみられた.

結 論

HCV 遺伝子型 1 型に感染し,それまでの治療に反応しなかった患者を対象としたこの予備的研究では,2 つの直接作用型抗ウイルス薬のみで SVR を達成できることが示された.さらに,この 2 剤をペグインターフェロンα-2a+リバビリンと併用すると,高い SVR 率が達成された.(Bristol-Myers Squibb 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01012895)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 216 - 24. )