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June 21, 2012 Vol. 366 No. 25

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腟脱修復術後の失禁を減少させるための中部尿道スリング
A Midurethral Sling to Reduce Incontinence after Vaginal Prolapse Repair

J.T. Wei and Others

背景

骨盤臓器脱の経腟的手術を受ける腹圧性尿失禁のない女性は,術後に尿失禁が出現するリスクがある.このリスクを低下させるために,臓器脱修復時に中部尿道スリング手術を行うことができる.

方 法

腹圧性尿失禁の症状がなく,前腟脱(骨盤臓器脱定量システムによる検査でステージ 2 以上)を有し,腟脱手術が予定されている女性を対象に,多施設共同試験を行った.女性を,手術中に中部尿道スリング手術を行う群と,偽切開を行う群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは 2 つ設定し,1 つは 3 ヵ月の時点での尿失禁,または尿失禁に対する治療とした.第 2 の主要エンドポイントは,12 ヵ月の時点での,のちに治療の可能性がある尿失禁とした.

結 果

無作為化した 337 例のうち,327 例(97%)が 1 年の時点での追跡調査を完了した.3 ヵ月の時点での尿失禁(または治療)の発生率は,スリング群 23.6%,偽処置群 49.4%であった(P<0.001).12 ヵ月の時点での尿失禁(のちに治療の可能性がある)は,スリング群の 27.3%と偽処置群の 43.0%に認められた(P=0.002).12 ヵ月の時点で尿失禁 1 例を予防するためのスリングによる治療必要数は,6.3 であった.膀胱穿孔の発生率はスリング群のほうが偽処置群よりも高く(6.7% 対 0%),また尿路感染症(31.0% 対 18.3%),重大な出血性合併症(3.1% 対 0%),術後 6 週間における残尿感(3.7% 対 0%)の発生率も,スリング群のほうが高かった(すべての比較について P≦0.05).

結 論

腟脱手術時に予防的に中部尿道スリング手術を行うことで,3 ヵ月と 12 ヵ月の時点での尿失禁の発生率は低下したが,有害事象の発生率が高くなった.(ユニス・ケネディ・シュライバー米国国立小児保健発達研究所,米国国立衛生研究所女性の健康研究室から研究助成を受けた.OPUS ClinicalTrials.gov 番号:NCT00460434)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 2358 - 67. )