生殖補助医療技術のサイクルと関連付けた累積出生率
Cumulative Birth Rates with Linked Assisted Reproductive Technology Cycles
B. Luke and Others
生殖補助医療技術による治療後の生児出生率は従来,治療サイクルごとに報告されてきた.継続的に治療を受けている女性にとっては,累積成功率がより重要な指標である.
生殖補助医療学会臨床転帰報告システムのデータベースにおける 2004~09 年の生殖補助医療技術のサイクルからのデータを,個々の女性と関連付け,累積生児出生率を推定した.控えめな推定では,治療のために来院しなかった女性は生児を出産しなかったとみなした.最適推定では,これらの女性の生児出生率は,治療を継続した女性と同等であるとみなした.
女性 246,740 人,471,208 サイクル,生児出産 140,859 件のデータが得られた.生児出生率は,母親の年齢の上昇と,自己卵母細胞(ドナー卵母細胞ではなく)によるサイクル数の増加に伴い低下した.第 3 サイクルまでに,自己卵母細胞による生児出生率の控えめな推定値と最適推定値は,31 歳未満の女性でそれぞれ 63.3%,74.6%であったのが,41 歳または 42 歳の女性では 18.6%,27.8%に低下し,43 歳以上の女性では 6.6%,11.3%に低下した.ドナー卵母細胞が用いられた場合は,出生率はすべての年齢についてそれぞれ 60%,80%を超えた.出生率は,胚盤胞(受精 5~6 日に移植)を用いたほうが,卵割胚(2~3 日に移植)を用いた場合よりも高かった.第 3 サイクルでは,生児出生率の控えめな推定値と最適推定値は,新鮮自己卵母細胞を用いた場合に,卵割胚移植でそれぞれ 42.7%と 65.3%,胚盤胞移植で 52.4%と 80.7%であった.
今回の結果は,生殖補助医療技術では,親と胚に有利な特性がある場合に,自然出生率に近い生児出生率が得られる可能性があることを示している.年齢の高い女性の生児出生率は,自己卵母細胞を用いた場合は年齢の低い女性よりも低いが,ドナー卵母細胞を用いた場合は同等である.(米国国立衛生研究所,生殖補助医療学会から研究助成を受けた.)