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January 26, 2012 Vol. 366 No. 4

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心血管疾患の生涯リスク
Lifetime Risks of Cardiovascular Disease

J.D. Berry and Others

背景

黒人・白人成人の幅広い年齢層の心血管疾患の生涯リスクは報告されていない.

方 法

18 件のコホート研究,計 257,384 例の黒人・白人の男女のデータを用いて,個人レベルでのメタアナリシスを行った.対象は,心血管疾患の危険因子を 45,55,65,75 歳の時点で評価されていた.血圧,コレステロール値,喫煙状況,糖尿病の有無により,対象を危険因子に基づき 5 つの相互排他的カテゴリーに層別化した.残りの生涯の心血管イベントリスクを,各年齢の各カテゴリーの対象について推定した.心血管疾患以外による死亡を競合イベントとして扱った.

結 果

危険因子による層別集団のあいだで,心血管疾患の生涯リスクに顕著な差が認められた.55 歳の対象のあいだでは,至適な危険因子プロファイル(総コレステロール値 <180 mg/dL [4.7 mmol/L],収縮期血圧 <120 mmHg かつ拡張期血圧 <80 mmHg,非喫煙状態,非糖尿病)を有する対象は,80 歳までに心血管疾患で死亡するリスクが,主要な危険因子を 2 つ以上有する対象よりも大幅に低かった(男性 4.7% 対 29.6%,女性 6.4% 対 20.5%).また,至適な危険因子プロファイルを有する対象は,致死的冠動脈疾患または非致死的心筋梗塞の生涯リスク(男性 3.6% 対 37.5%,女性 <1% 対 18.3%)と,致死的または非致死的脳卒中の生涯リスク(男性 2.3% 対 8.3%,女性 5.3% 対 10.7%)も低かった.危険因子による層別集団のなかでは,黒人と白人で,また出生年コホート集団間で同様の傾向が認められた.

結 論

有する危険因子の違いが心血管疾患の生涯リスクの顕著な差につながっており,これらの差は異なる人種間,出生年コホート集団間でも一貫している.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 321 - 9. )