The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 5, 2012 Vol. 366 No. 1

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

急性冠症候群を発症して間もない患者に対するリバロキサバン
Rivaroxaban in Patients with a Recent Acute Coronary Syndrome

J.L. Mega and Others

背景

急性冠症候群は,冠動脈アテローム硬化に続く血栓症により発生する.血栓症には第 Xa 因子が中心的役割を果たすことから,低用量のリバロキサバン(rivaroxaban)を用いて第 Xa 因子を阻害することで,急性冠症候群を発症して間もない患者の心血管転帰が改善する可能性がある.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験において,急性冠症候群を発症して間もない患者 15,526 例を,リバロキサバン 2.5 mg 1 日 2 回群,5 mg 1 日 2 回群,プラセボ群のいずれかに無作為に割り付け,投与を平均 13 ヵ月間,最長 31 ヵ月間行った.主要有効性エンドポイントは,心血管系の原因による死亡・心筋梗塞・脳卒中の複合とした.

結 果

リバロキサバンにより,プラセボと比較して主要有効性エンドポイントの発生は有意に減少し,発生率はそれぞれ 8.9%,10.7%(リバロキサバン群のハザード比 0.84,95%信頼区間 [CI] 0.74~0.96,P=0.008)で,2.5 mg 1 日 2 回群(9.1% 対 10.7%,P=0.02),5 mg 1 日 2 回群(8.8% 対 10.7%,P=0.03)とも有意に改善した.リバロキサバン 2.5 mg 1 日 2 回の投与では心血管系の原因による死亡率(2.7% 対 4.1%,P=0.002)と全死因死亡率(2.9% 対 4.5%,P=0.002)が低下したが,このような生存上の利益は 5 mg 1 日 2 回の投与では認められなかった.リバロキサバンにより,プラセボと比較して冠動脈バイパス術に関連しない重大な出血の発生率(2.1% 対 0.6%,P<0.001)と頭蓋内出血の発生率(0.6% 対 0.2%,P=0.009)が上昇したが,致死的出血(0.3% 対 0.2%,P=0.66)やその他の有害事象に有意な増加はみられなかった.致死的出血イベントは 2.5 mg 1 日 2 回群のほうが 5 mg 1 日 2 回群よりも少なかった(0.1% 対 0.4%,P=0.04).

結 論

急性冠症候群を発症して間もない患者において,リバロキサバンによって心血管系の原因による死亡・心筋梗塞・脳卒中から成る複合エンドポイントのリスクが低下した.リバロキサバンにより重大な出血と頭蓋内出血のリスクが上昇したが,致死的出血のリスクは上昇しなかった.(Johnson & Johnson 社,Bayer Healthcare 社から研究助成を受けた.ATLAS ACS2-TIMI 51 ClinicalTrials.gov 番号:NCT00809965)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 9 - 19. )