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November 22, 2012 Vol. 367 No. 21

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腹部大動脈瘤に対する血管内治療と開腹手術との長期比較
Long-Term Comparison of Endovascular and Open Repair of Abdominal Aortic Aneurysm

F.A. Lederle and Others

背景

腹部大動脈瘤に対する待期的血管内治療によって,従来の開腹手術と比較して,長期的な合併症と死亡が減少するかどうかは明らかにされていない.

方 法

無症候性腹部大動脈瘤を有し,血管内治療および開腹手術の適応となる患者 881 例を,血管内治療群(444 例)と開腹手術群(437 例)に無作為に割り付け,最長 9 年(平均 5.2 年)追跡した.患者は,42 ヵ所の退役軍人医療センターから選択され,登録時の年齢は 49 歳以上であった.

結 果

患者の 95%以上が割り付けられた治療を受けた.主要転帰である全死因死亡は,各群で 146 例発生した(開腹手術に対する血管内治療のハザード比 0.97,95%信頼区間 [CI] 0.77~1.22,P=0.81).以前に報告した,血管内治療による周術期死亡率の低下は,2 年(ハザード比 0.63,95% CI 0.40~0.98,P=0.04)および 3 年(ハザード比 0.72,95% CI 0.51~1.00,P=0.05)の時点では維持されていたが,その後は維持されなかった.動脈瘤に関連する死亡は,血管内治療群で 10 例(2.3%)あったのに対し,開腹手術群では 16 例(3.7%)あった(P=0.22).動脈瘤破裂は,血管内治療群で 6 例確認されたのに対し,開腹手術群では確認されなかった(P=0.03).年齢と治療の種類とのあいだに有意な交互作用が認められ(P=0.006),70 歳未満の患者では血管内治療群のほうが生存率が高かったが,70 歳以上の患者では開腹手術群のほうが生存率が高い傾向がみられた.

結 論

血管内治療と開腹手術とで,長期生存率は同程度であった.血管内治療による周術期生存率の改善は数年間維持されたが,治療後の動脈瘤破裂は引き続き懸念された.血管内治療によって若年患者の長期生存率は上昇したが,高齢患者では血管内修復によってより大きな利益を得ると期待されていたにもかかわらず,長期生存率は上昇しなかった.(退役軍人部門研究開発局から研究助成を受けた.OVER ClinicalTrials.gov 番号:NCT00094575)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 1988 - 97. )