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December 20, 2012 Vol. 367 No. 25

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全身型若年性特発性関節炎に対するトシリズマブの無作為化試験
Randomized Trial of Tocilizumab in Systemic Juvenile Idiopathic Arthritis

F. De Benedetti and Others

背景

若年性特発性関節炎(JIA)のなかで,全身型 JIA はもっとも重症度の高いサブタイプであり,治療選択肢が限られている.全身型 JIA では,インターロイキン-6 が病因的役割を果たしている.

方 法

活動性の全身型 JIA(罹病期間が 6 ヵ月以上で,非ステロイド抗炎症薬とグルココルチコイドに対する反応が不十分)を有する 2~17 歳の小児 112 例を,抗インターロイキン-6 受容体抗体トシリズマブ(体重 30 kg 以上の場合 8 mg/kg,体重 30 kg 未満の場合 12 mg/kg)を静脈内投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付け,二重盲検期の 12 週にわたり 2 週ごとに投与した.事前に規定された無効の基準を満たした患者には,非盲検下でトシリズマブ治療を行った.患者全例が非盲検の延長試験に参加しえた.

結 果

12 週の時点で,主要エンドポイント(発熱なし,米国リウマチ学会 [ACR] JIA コアセットに含まれる 6 項目中 3 項目以上が 30%以上改善し,30%超の悪化は 1 項目以下)を達成した患者は,トシリズマブ群のほうがプラセボ群よりも有意に多かった(75 例中 64 例 [85%] 対 37 例中 9 例 [24%],P<0.001).52 週の時点では,トシリズマブ群の 80%が,発熱なしに 70%以上の改善を達成し,うち 59%は 90%の改善を達成していた.さらに,48%には活動性関節炎を認める関節がなく,52%が経口グルココルチコイドを中止していた.二重盲検期に,有害事象はトシリズマブ群では感染症 60 件(重篤 2 件)を含む 159 件発生したのに対し,プラセボ群では感染症 15 件を含む 38 件発生した.二重盲検期と延長試験期間を合わせて,トシリズマブ投与患者では,重篤な感染症 18 件(0.11/患者・年)を含む重篤な有害事象が 39 件(0.25/患者・年)発生した.好中球減少症は 19 例発生し(グレード 3 が 17 例,グレード 4 が 2 例),21 例ではアミノトランスフェラーゼ値が正常範囲上限の 2.5 倍を超えていた.

結 論

トシリズマブは,重症で持続性の全身型 JIA に対して有効であった.有害事象の頻度が高く,感染症,好中球減少症,アミノトランスフェラーゼ値上昇などが認められた.(Hoffmann-La Roche 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00642460)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 2385 - 95. )