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August 9, 2012 Vol. 367 No. 6

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小児用補助人工心臓の前向き試験
Prospective Trial of a Pediatric Ventricular Assist Device

C.D. Fraser, Jr., and Others

背景

重度の心不全を有する小児において,心臓移植までのつなぎとして用いる機械的循環補助の選択肢は限られている.

方 法

心臓移植までのつなぎとして小児用に設計された補助人工心臓の前向き単群試験を行った.16 歳以下の患児を,体表面積に基づき 2 つのコホート(コホート 1 は 0.7 m2 未満,コホート 2 は 0.7 m2 以上 1.5 m2 未満)に分けた.各群 24 例であった.機械的補助を受けたこれら 2 つのコホートの生存期間(データは移植時または回復により装置から離脱した時点で打ち切り)を,傾向スコアをマッチさせた,体外式膜型人工肺(ECMO)を使用した 2 つの歴史的対照群(各コホートに対して 1 群)の生存期間と比較した.

結 果

コホート 1 の患児の生存期間は 174 日の時点で中央値に達していなかったが,マッチさせた ECMO 群の生存期間中央値は 13 日であった(log-rank 検定で P<0.001).コホート 2 の患児とマッチさせた ECMO 群の生存期間中央値は,それぞれ 144 日と 10 日であった(log-rank 検定で P<0.001).コホート 1 とコホート 2 で認められた重篤な有害事象は,重大な出血(それぞれ患児の 42%と 50%),感染(63%と 50%),脳卒中(29%と 29%)などであった.

結 論

この試験により,補助人工心臓を用いたほうが,ECMO よりも生存率が有意に高いことが示された.感染,脳卒中,出血などの重篤な有害事象が試験参加者の大半で発生した.(Berlin Heart 社,米国食品医薬品局オーファン製品開発局から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00583661)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 532 - 41. )