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August 23, 2012 Vol. 367 No. 8

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スウェーデンの肥満者における肥満手術と 2 型糖尿病の予防
Bariatric Surgery and Prevention of Type 2 Diabetes in Swedish Obese Subjects

L.M.S. Carlsson and Others

背景

減量は 2 型糖尿病に対する防御となるが,行動変容のみで減量を維持することは困難である.われわれは,非無作為化前向き対照試験のデータを解析し,肥満手術が 2 型糖尿病の予防に及ぼす効果を検討した.

方 法

今回の解析では,肥満手術を受けた患者 1,658 例と,マッチさせた(マッチングは個人レベルではなくグループレベルで実施)肥満の対照 1,771 例を対象とした.ベースラインで糖尿病に罹患していた例はなかった.肥満手術コホートの患者は,胃バンディング術(19%),垂直遮断胃形成術(69%),胃バイパス術(12%)を受け,マッチさせた非無作為化前向き対照は通常ケアを受けた.対象者の年齢は 37~60 歳で,体格指数(BMI,体重 [kg]/身長 [m]2)は男性 34 以上,女性 38 以上であった.今回の解析では,主試験で副次的エンドポイントとして事前に規定した,2 型糖尿病の発症率に焦点を当てた.解析の時点(2012 年 1 月 1 日)で,追跡期間は最長 15 年であった.マッチングにもかかわらず,患者背景のいくつかに群間で有意差が認められ,肥満手術群では対照群よりもベースラインの体重が高く,危険因子がより顕著であった.15 年の時点で,もとの対象者の 36.2%が試験から脱落し,30.9%は追跡 15 年に達していなかった.

結 果

追跡期間に,2 型糖尿病は対照群の 392 例と肥満手術群の 110 例に発症し,発症率は 1,000 人年あたりそれぞれ 28.4 例と 6.8 例であった(肥満手術群の補正ハザード比 0.17,95%信頼区間 0.13~0.21,P<0.001).肥満手術の効果は,空腹時血糖異常の有無による影響を受けたが(交互作用について P=0.002),BMI による影響はみられなかった(P=0.54).エンドポイントの外挿も含めた感度分析では,全体的な結論は変化しなかった.術後死亡率は 0.2%で,肥満手術を受けた患者の 2.8%は合併症のために 90 日以内に再手術を要した.

結 論

肥満手術は,肥満者の 2 型糖尿病の予防に通常ケアよりも顕著に有効であると考えられる.(スウェーデン研究評議会ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01479452)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 695 - 704. )