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August 23, 2012 Vol. 367 No. 8

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米国 3 都市の 5 年生における人種・民族間の健康格差
Racial and Ethnic Health Disparities among Fifth-Graders in Three Cities

M.A. Schuster and Others

背景

多くの健康関連の行動と転帰に関して,人種・民族間の格差は思春期については十分に報告されているが,思春期前については,それと比較してわかっていることは少ない.

方 法

米国の 3 つの大都市圏で無作為に選択した 5,119 人の公立学校の 5 年生とその保護者を対象とした.黒人児童,ラテン系児童,白人児童間の差を,16 の評価指標で調査した.評価指標は,暴力の目撃,同級生のいじめ,攻撃の実行,シートベルトの使用,自転車用ヘルメットの使用,物質(たばこ,アルコール)の使用,差別,テロリズムの心配,激しい運動,肥満,自己評価による健康状態と心理的・身体的な QOL などとした.部分的に補正したモデルを用いて,人種・民族間の格差の潜在的な介在因子(すなわち社会人口学的特性と児童の学校)を検証した.

結 果

黒人児童と白人児童とのあいだでは 16 指標すべてに有意差が認められ,ラテン系児童と白人児童とのあいだでは 16 指標のうち 12 指標で有意差が認められたが,補正した解析によりこれらの格差の多くは減少した.たとえば,未補正の解析では,銃による脅迫・傷害の目撃率は,黒人(20%)とラテン系(11%)が白人(5%)よりも高く,週のうち激しい運動を行う日数は,黒人(3.56 日)とラテン系(3.77 日)が白人(4.33 日)よりも少なかった(すべての比較について P<0.001).統計学的な補正を行うと,これらの差は,黒人-白人間で約半分減少し,ラテン系-白人間では消失した.世帯収入,家庭内の最高教育水準,児童の学校は,人種・民族間の格差のもっとも顕著な介在因子であった.

結 論

有害な健康行動・経験・転帰は,黒人児童とラテン系児童において,白人児童よりも頻度が高かった.社会経済的地位と児童の学校で補正すると,これらの差のほとんどは顕著に減少した.低い社会経済的地位と有害な学校環境がもたらしうる有害な影響に取り組む介入は,児童の健康における人種・民族間の差を減少させる助けとなる可能性がある.(米国疾病対策予防センターから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 735 - 45. )