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April 18, 2013 Vol. 368 No. 16

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重症患者に対するグルタミンと抗酸化薬に関する無作為化試験
A Randomized Trial of Glutamine and Antioxidants in Critically Ill Patients

D. Heyland and Others

背景

重症患者は多大な酸化ストレスを受けている.グルタミンと抗酸化薬の摂取により治療上の利益が得られる可能性があるが,現在のデータには矛盾がある.

方 法

盲検化 2×2 要因試験において,カナダ,米国,欧州の集中治療室(ICU)40 ヵ所の成人重症患者で,多臓器不全をきたし,人工換気を受けていた 1,223 例を,グルタミン群,抗酸化薬群,グルタミン+抗酸化薬群,プラセボ群のいずれかに無作為に割り付けた.摂取は ICU 入室後 24 時間以内に開始し,静脈内投与と経腸投与の両方を用いた.主要転帰は 28 日死亡率とした.中間解析の計画があったため,最終解析での P 値 0.044 未満を統計学的に有意とみなした.

結 果

グルタミンを摂取した患者では,摂取しなかった患者と比較して,28 日死亡率が上昇する傾向が認められた(32.4% 対 27.2%,補正オッズ比 1.28,95%信頼区間 [CI] 1.00~1.64,P=0.05).院内死亡率と 6 ヵ月死亡率は,グルタミンを摂取した患者のほうが,摂取しなかった患者よりも有意に高かった.グルタミンは,臓器不全や感染性合併症の発生率に影響を及ぼさなかった.抗酸化薬摂取は,28 日死亡率には影響を及ぼさず(30.8% 対 摂取しなかった患者 28.8%,補正オッズ比 1.09,95% CI 0.86~1.40,P=0.48),他のどの副次的エンドポイントにも影響を及ぼさなかった.重篤な有害事象に群間で差は認められなかった(P=0.83).

結 論

多臓器不全をきたした重症患者に,グルタミンや抗酸化薬を早期に投与しても臨床転帰は改善せず,グルタミンは死亡率の上昇に関連した.(カナダ保健研究機構から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00133978)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 1489 - 97. )