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June 6, 2013 Vol. 368 No. 23

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非定型溶血性尿毒症症候群に対する終末補体阻害薬エクリズマブ
Terminal Complement Inhibitor Eculizumab in Atypical Hemolytic-Uremic Syndrome

C.M. Legendre and Others

背景

非定型溶血性尿毒症症候群は,遺伝性で生命に関わる,補体介在性の血栓性微小血管障害を特徴とする慢性疾患である.血漿交換や血漿輸注によって,血液学的検査項目は一時的に正常値に維持されることがあるが,基礎にある全身性疾患の治療にはならない.

方 法

2 つの第 2 相前向き試験において,12 歳以上の非定型溶血性尿毒症症候群患者にエクリズマブを 26 週間投与し,延長期間でさらに長期間投与した.対象は,血小板数が低値で腎障害を有する患者(試験 1)と,腎障害を有するが血漿交換や血漿輸注を受けている期間の,少なくとも 8 週間には血小板数の 25%を超える低下が認められなかった患者(試験 2)とした.主要エンドポイントは,血小板数の変化(試験 1),血栓性微小血管障害イベントが認められない状態(血小板数の 25%を超える低下が認められず,血漿交換や血漿輸注が行われず,透析も開始されない)(試験 2)などとした.

結 果

37 例(試験 1 は 17 例,試験 2 は 20 例)が,それぞれ中央値 64 週間,62 週間のエクリズマブの投与を受けた.エクリズマブの投与により血小板数は増加した;試験 1 では,ベースラインから 26 週目にかけての血小板数の増加は平均 73×109/L であった(P<0.001).試験 2 では,患者の 80%で血栓性微小血管障害イベントが認められなかった.エクリズマブによってすべての副次的エンドポイントが有意に改善し,推算糸球体濾過量(eGFR)が継続的かつ時間依存的に増加した.試験 1 では,透析が 5 例中 4 例で中止された.エクリズマブの投与開始が早期であるほど,eGFR の改善は有意に大きくなった.また,エクリズマブは健康関連 QOL の改善とも関連していた.延長期間中に,治療による蓄積毒性や,髄膜炎菌感染のような感染症に関連する重篤な有害事象はみられなかった.

結 論

エクリズマブによって,非定型溶血性尿毒症症候群患者の補体介在性の血栓性微小血管障害が抑制され,腎機能が時間依存的に有意に改善された.(Alexion Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.C08-002 の ClinicalTrials.gov 番号:NCT00844545 [成人患者] および NCT00844844 [思春期患者],C08-003 の ClinicalTrials.gov 番号:NCT00838513 [成人患者] および NCT00844428 [思春期患者])

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 2169 - 81. )